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同じメールアドレスでも、前任者と後任者は別人。顧客台帳の重複を消す前に

同じ名前やメールアドレスでも、別の会社や担当者の場合があります。電話番号の変更、後任への引継ぎ、所属不明の例から、まとめる記録と残す記録を判断できます。20件の記入例とExcelテンプレート付き。

同じメールアドレスの記録を、別の顧客IDとして確認する比較。

顧客台帳の重複や表記ゆれは、行を先に消さず、会社・拠点・担当者を別々のIDで持ち、同じか違うかの理由を記録してから統合します。同じ会社名でも別法人、同じ担当者でも異動前後の記録という可能性があるためです。

営業用の顧客一覧と事務用の台帳を並べると、同じような会社名や担当者名がいくつも見つかります(想定例)。

たとえば、岡田さんの電話番号が変わった二つの記録は、変更通知と本人確認を経て一人にまとめられます。一方、退職した木村さんと後任の阿部さんは、同じメールアドレスを引き継いでも別人です。一致する連絡先の数より、「なぜ同じ、または違うのか」を説明できるようにします。

会社・拠点・取引先担当者の20件を使って比べます(想定例)。同じ人物にまとめる場合、別人として残す場合、本人への問い合わせを待つ場合を比べます。

名寄せ表・未記入テンプレート(Excel)に、重複に見える2行を写し、一致する項目と違う項目を書いてから記入例と比べてください。

会社・拠点・担当者を分ける

「会社名、氏名、電話、対応メモ」を一行に詰め込むと、何が重複したのかを見分けにくくなります。会社には会社ID、支店などには拠点ID、人物には担当者IDを付け、所属関係を別に持たせます。IDは識別するための番号であり、同一性を確認した証拠そのものではありません。

管理するもの 一つのIDが示す単位 一緒に残す情報
会社 取引する法人 正式名称、別名、法人を特定した資料
拠点 本社・支店など 会社ID、所在地、拠点名
担当者 取引先の人物 氏名、個別の連絡先、判断の根拠
所属・対応履歴 ある時点の所属や対応 人物・会社・拠点ID、有効期間、案件ID

あおば設備の佐藤さんは、「株式会社」と「(株)」の違いだけなので、元の取引記録で同じ法人・窓口と分かったのでまとめます。みなと商事の二件は会社名こそ同じですが、法人の識別資料と所在地が違うため分けたままです。詳しい記入例は後段の「会社名の表記ゆれ」「同じ会社名の別法人」にあります。

同一人物を見分ける項目を決める

表記ゆれは、元の値を保存したうえで検索用の値を整えます。氏名の空白、文字の幅、会社名の略記を一定の規則で比べますが、似た文字の除去をそのまま統合条件にはしません。電話番号は先頭のゼロや国番号を勝手に落とさず、代表電話か本人の番号かも区別します。

候補ごとに「一致理由」と「不一致」を並べ、氏名、会社、拠点、個別メール、電話、記録した時期を合わせて見ます。つばき工業の「鈴木葵」さん二人は、同姓同名で会社ドメインも同じですが、部署と個別メールが異なる別人です。なぎさ製作所の二人も、共用メールと代表電話が一致するだけです。一致項目の数を点数化するだけでは、この違いを扱えません。

岡田さんの電話変更では、変更通知と既存の連絡経路で本人と分かったため、同じ人物として整理します。山本さんの二件は拠点と在籍期間の重複を説明できず、保留です。営業担当が9月18日までに本人と所属を聞き取ります。「空欄だから一致」「新しい行だから正しい」とは扱いません。

比較した記録 調べたこと 判断
岡田さんの新旧の電話 変更通知と既存の連絡先で同一人物と判明 人物は一人。旧電話は履歴用、新電話だけを現連絡先にする
木村さんと後任の阿部さん(G07) 退職日・着任日と共用アドレスの引き継ぎ 二人のまま。木村さんの対応履歴を阿部さんへ移さない
山本さんの二つの所属 拠点が違い、在籍期間が重なる理由が分からない 統合せず、調べる担当と期限を残す

新規入力の前に、会社の正式名・別名と既存IDを検索し、人物の候補を探す手順も決めます。入力担当が候補と根拠を残し、台帳責任者が確定する分担が一案です。一人で担当する場合も、候補作成と確定を分けて再点検します。保留一覧は定期的に見直し、放置された重複を増やさない運用にします。

製品の識別規則と、業務上の本人確認も別です。HubSpotにはメールや会社ドメインによる重複処理がありますが、取込経路などで条件が異なります。別人が使う共用アドレスを個人メールとしてそのまま取り込む設計は避け、窓口用項目や別の識別キーを検討します。

統合前に残す履歴を確認する

統合前に、どの値を残すかを項目ごとに決めます。電話やメールの現在値だけでなく、元の値、変更日、判断の根拠、関連案件、対応履歴、必要な添付を保存対象にします。保存先の閲覧権限と、誤った場合にどこまで戻せるかも先に決めます。

HubSpotの公式資料は、代表レコードと保持値の選択、活動・関連情報の統合、Merged [record] IDsによる旧IDの確認を説明しています。標準動作では統合後に新しいRecord IDが作られます。一方、主IDを保持する公開ベータ「Primary ID Preservation for Merged Records」の適用中は、代表レコードのIDが残ります。連携先の番号を更新する必要があるかは、自社アカウントへの適用状況と実際の統合結果で確認してください。後半の記入例で使う業務側の存続IDと、製品側のRecord IDを混同しないでください(出典:HubSpotの統合後の動作(2026年9月22日確認))。

高橋さんの東支店から西支店への異動では、人物を一人にまとめても、過去の対応履歴は当時の拠点に残します。合計件数に加え、履歴ID、案件ID、当時の会社・拠点、本文、日時の対応を照合します。二つの台帳に同じ案件があっても、案件数を単純に足しません。案件・見積り・受注の表が分かれていて引き継ぎが漏れる場合は、案件から受注までの引き継ぎ管理で一つにつなぐ方法を扱っています。

通常の一覧出力だけで全履歴を保存したつもりにもならないようにします。HubSpotのレコード出力は現在の項目値・関連付けを扱い、活動データには別の出力方法が案内されています。

実際のCRMを統合する前に、取り消せるかを確かめてください。HubSpotの例では、統合の取り消しはできません。統合履歴の出力は過去90日までで、Data Qualityツールで行った統合が対象です。「履歴を見られる」と「統合前へ戻せる」は別の項目です。機能ごとの利用条件も対象契約で確かめます。

配布表は、原本20行と履歴20行を消さず、対応表だけを変更する例です。「誤統合修正例」では、別法人の担当者を誤って同じ人物へまとめた後、元の人物へ戻します。その人の対応履歴が元の会社に残っているかも確かめます。これは管理用の対応表を戻す練習です。

承認後に実施し、照合が終わるまでは完了にしません。システム全体を入れ替える場合の切替条件や差分の戻し方は、システム移行の切り戻し|新しい注文と訂正の扱いで扱っています。切替の前後も、日々の台帳維持は続きます。

電話の折返しを別の担当へ渡す場合は、コンタクトセンターの対応管理で、着信と対応結果を同じ受付へ残す例を紹介しています。顧客台帳の整理と、個々の対応の完了は分けて追います。

退職・変更・連絡不可を記録する

取引先担当者の異動では、過去の所属を保持し、所属の終了日と次の開始日を記録します。高橋さんは東支店への所属を2026年3月31日で終了し、西支店への所属を4月1日からにします。転職の場合も、過去案件の会社を新勤務先へ書き換えません。

木村さんの所属が2026年6月30日で終わり、後任の阿部さんが7月1日に着任しています。共用メールを引き継いでも二人は別人です。木村さんを退職・連絡不可として残し、過去の対応履歴は本人に結び付けたままにします。

「連絡可否」は、各行の連絡先・所属宛てに連絡してよい状態かを示します。人物全体の評価とは区別します。変更前の岡田さんの電話や山田さんのメールは現行の送信対象から外します。メール不達だけで退職を確定せず、連絡先の有効性と在籍確認を分けて保留にします。なお、表の「可」は販促配信の同意を意味しません。販促メールの配信希望まで分けて持つ例は、寄付履歴と連絡希望を分ける支援者管理にあります。

退職者の記録を残す場合も、保存期限を決めます。参照する業務目的、閲覧できる人、保存期限、期限後の削除・匿名化の扱いを社内で決め、履歴の保存と日々の連絡先一覧を分けて運用します。

20件の記入例を見比べる

20件を2件ずつ、10組で比べます。まず判断の違いを一覧で見てから、必要な組の記録を開いてください(想定例)。

比べた二つの記録 判断 残すもの・確かめること
会社名の表記だけが違う 統合 同一法人・同一窓口の根拠と、両方の原本
同じ会社名の別法人 非統合 法人と所在地の違い
同姓同名・同じ会社ドメイン 非統合 部署と個別メールの違い
同じ担当者の拠点異動 統合 過去の所属先と当時の対応履歴
同じ担当者の電話変更 統合 変更通知、旧電話、新しい連絡先
共用メールを使う別人 非統合 各担当者の記録
退職者と後任 非統合 退職日・着任日と、それぞれの履歴
同じグループの別法人 非統合 法人ごとの記録
一致する情報と矛盾が混在 保留 本人・所属の問い合わせ先と期限
同じ担当者の個別メール変更 統合 変更の根拠と、新旧メールの履歴

元の20件と資料を突き合わせるとき

表の「担当者ID」は整理前の管理番号、「存続ID」は確定後に参照する業務側の人物IDです。原本の候補IDは消しません。統合しない行は自分のIDを存続IDにし、保留の行では空欄にします。会社や拠点のIDも、確定できない間は仮登録として区別してください。

電話は発信できない代用記号、メールは.exampleを使っています。

20行を2行ずつ比べた10組です。内訳は統合4組、非統合5組、保留1組です。Rは原本の候補ID、Cは会社ID、Bは拠点ID、Pは業務側の人物IDです。「存続ID」が空欄の行は未確定です。

G01 会社名の表記ゆれ:統合
項目 R001 R002
候補ID R001 R002
会社・氏名 あおば設備株式会社/佐藤 健 あおば設備(株)/佐藤健
会社ID C001 C001
拠点ID B001 B001
担当者ID P001 P002
一致理由 氏名・メール・電話 氏名・メール・電話
不一致 会社名の略記のみ 会社名の略記のみ
存続ID P001 P001
所属期間 2024-04-01〜在籍 2024-04-01〜在籍
連絡可否 可(現連絡先) 可(現連絡先)

E01:同一法人・同一窓口を元の取引記録で確認。P001へ対応付け。原本R001・R002と履歴は残す。

G02 同じ会社名の別法人:非統合
項目 R003 R004
候補ID R003 R004
会社・氏名 みなと商事株式会社/田村 誠 みなと商事株式会社/長谷川 里奈
会社ID C002 C003
拠点ID B002 B003
担当者ID P003 P004
一致理由 会社名のみ 会社名のみ
不一致 法人資料・住所・氏名 法人資料・住所・氏名
存続ID P003 P004
所属期間 2025-04-01〜在籍 2025-04-01〜在籍
連絡可否 可(現連絡先) 可(現連絡先)

E02:法人の識別資料と所在地が異なる。会社ID・担当者IDを分けたまま保つ。

G03 同姓同名・同一ドメイン:非統合
項目 R005 R006
候補ID R005 R006
会社・氏名 つばき工業株式会社/鈴木 葵 つばき工業株式会社/鈴木 葵
会社ID C004 C004
拠点ID B004 B004
担当者ID P005 P006
一致理由 氏名・会社ドメイン 氏名・会社ドメイン
不一致 部署・個別メール 部署・個別メール
存続ID P005 P006
所属期間 2025-04-01〜在籍 2025-04-01〜在籍
連絡可否 可(個別窓口) 可(個別窓口)

E03:同じ会社に在籍する別人と窓口一覧で確認。個別メールと部署を分けて登録する。

G04 担当者の拠点異動:統合
項目 R007 R008
候補ID R007 R008
会社・氏名 こうよう機器株式会社/高橋 直人 こうよう機器株式会社/高橋 直人
会社ID C005 C005
拠点ID B005 B006
担当者ID P007 P008
一致理由 氏名・異動通知 氏名・異動通知
不一致 拠点・メール・電話 拠点・メール・電話
存続ID P007 P007
所属期間 2024-04-01〜2026-03-31 2026-04-01〜在籍
連絡可否 不可(旧所属宛) 可(新所属宛)

E04:異動通知と本人確認で、同一人物と期間を確認。人物はP007へ対応付け。旧拠点・新拠点の所属履歴は別に残す。

G05 電話番号の変更:統合
項目 R009 R010
候補ID R009 R010
会社・氏名 すみれ物流株式会社/岡田 恵 すみれ物流株式会社/岡田 恵
会社ID C006 C006
拠点ID B007 B007
担当者ID P009 P010
一致理由 氏名・個別メール 氏名・個別メール
不一致 電話番号 電話番号
存続ID P009 P009
所属期間 2025-04-01〜在籍 2025-04-01〜在籍
連絡可否 不可(旧電話) 可(新電話)

E05:変更通知と本人確認で新番号の利用開始を確認。P009へ対応付け。旧番号は履歴用、新番号だけを現連絡先にする。

G06 共用メールを使う別人:非統合
項目 R011 R012
候補ID R011 R012
会社・氏名 なぎさ製作所株式会社/中村 紗季 なぎさ製作所株式会社/松本 航
会社ID C007 C007
拠点ID B008 B008
担当者ID P011 P012
一致理由 共用メール・代表電話 共用メール・代表電話
不一致 氏名・担当業務 氏名・担当業務
存続ID P011 P012
所属期間 2025-04-01〜在籍 2025-04-01〜在籍
連絡可否 可(共用窓口) 可(共用窓口)

E06:同じ共用窓口を使う別人と担当一覧で確認。共用メールは窓口属性として扱い、人物を統合しない。

G07 退職者と後任への引継ぎ:非統合
項目 R013 R014
候補ID R013 R014
会社・氏名 ひばり企画株式会社/木村 洋介 ひばり企画株式会社/阿部 美咲
会社ID C008 C008
拠点ID B009 B009
担当者ID P013 P014
一致理由 共用メール・担当窓口 共用メール・担当窓口
不一致 氏名・所属期間 氏名・所属期間
存続ID P013 P014
所属期間 2023-04-01〜2026-06-30 2026-07-01〜在籍
連絡可否 不可(退職) 可(現担当)

E07:退職日・着任日と、共用アドレスの引継ぎを確認。P013は退職・連絡不可にする。後任P014へ過去の本人履歴を移さない。

G08 同じグループの別法人:非統合
項目 R015 R016
候補ID R015 R016
会社・氏名 しらかば株式会社/加藤 悠 しらかば販売株式会社/伊藤 真由
会社ID C009 C010
拠点ID B010 B011
担当者ID P015 P016
一致理由 類似会社名・ドメイン 類似会社名・ドメイン
不一致 法人資料・所在地 法人資料・所在地
存続ID P015 P016
所属期間 2025-04-01〜在籍 2025-04-01〜在籍
連絡可否 可(現連絡先) 可(現連絡先)

E08:グループ共通ドメインだが法人の識別資料は別。親会社と販売会社の会社IDを分ける。

G09 一致と矛盾が混在:保留
項目 R017 R018
候補ID R017 R018
会社・氏名 こはる販売株式会社/山本 光 こはる販売株式会社/山本 光
会社ID C011 C011
拠点ID B012 B013
担当者ID P017 P018
一致理由 氏名・代表電話 氏名・代表電話
不一致 拠点・期間の重複 拠点・期間の重複
存続ID 空欄(未確定) 空欄(未確定)
所属期間 2025-04-01〜未確認 2025-04-01〜未確認
連絡可否 保留(要確認) 保留(要確認)

E09:同一人物か未確認。異なる拠点の在籍期間が重なる。営業担当B(架空)が2026-09-18までに本人・所属を確認。自動統合しない。

G10 個別メールの変更:統合
項目 R019 R020
候補ID R019 R020
会社・氏名 あさぎ研究株式会社/山田 玲奈 あさぎ研究株式会社/山田 玲奈
会社ID C012 C012
拠点ID B014 B014
担当者ID P019 P020
一致理由 氏名・電話・変更通知 氏名・電話・変更通知
不一致 個別メール 個別メール
存続ID P019 P019
所属期間 2025-04-01〜在籍 2025-04-01〜在籍
連絡可否 不可(旧メール) 可(新メール)

E10:変更通知と既存の連絡経路で同一人物と確認。P019へ対応付け。旧メールを現行の送信対象から外す。

台帳で整理するか、CRMで管理するか

まず、今のCRMで会社・拠点・所属期間・対応履歴を必要な形で管理できるかを調べます。足りるなら、入力ルールと既製機能の設定を整える方が自然です。Excel、CRM、追加開発を組み合わせることもできます。例えば、CRMに照合用の表だけを併用する方法があります。

比べる点 Excel中心の整理案 既存CRMで確かめること
候補の抽出 原本とは別に一致・不一致を整理 照合キーと、共用メールなどの例外
残すID・履歴 原本、対応表、履歴表を分ける 統合後のIDと関連案件・活動の扱い
誤ったとき 対応表を戻し、履歴を再照合 統合取消の可否と手作業で戻す範囲
出力 値・履歴・添付を分けて保存 出力対象、履歴の期間、取得権限
日常運用 入力者と確定者、保留の見直しを決める 必要な契約・権限・同期先の影響

空欄票の「名寄せ_未記入」は、「名寄せ_記入例」と同じ列です。候補と不一致を入力し、根拠をそろえてから判定と存続IDを埋めてください。抜けを点検するチェック表は、XLSXと印刷用チェック表(PDF)に収録しています。候補が多いことだけを理由に、一括統合へ切り替えないでください。

まず、今の台帳から重複に見える2行を選び、一致する項目と違う項目を書き出してください。

台帳の整理だけでは対応履歴や担当交代を共有できない場合は、現在の項目、残したい履歴、保留になる例を持ち寄ると、既製機能で足りる範囲と補う範囲を整理できます。Salesforceと外部システムのID・更新結果をそろえる必要がある場合は、Salesforceと外部業務システムの連携開発相談が関連します。

採用の名簿では、同じ人の複数応募を一つに潰さず、候補者と応募を別々に追います(採用管理はExcel・ATS・連携のどれを選ぶ?)。

顧客情報・対応履歴の管理システム開発

参考出典

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