本文へスキップ
NeoLogic
NeoLogic

原価実績は予算内でも、完成までに1万円超える。制作会社の修正・素材・外注費の管理

修正が終わっても、顧客の確認待ちなら完成とは扱えません。制作物2点と修正3回の記入例で、対象の版、外注への依頼、完成までの原価を追います。追加範囲の合意を記録できるExcel管理表付き。

LPとバナーの修正が増えると見積りの範囲も変わる様子

制作会社の修正依頼・素材・外注費は、案件IDと制作物IDを軸にまとめます。その下に素材版、修正対象の制作版、対応版、顧客の回答、外注の依頼・納品・費用を対応付けます。

チャットで「写真を差し替えてください」と届いても、どのバナーの、どの版への指摘か分からない。外注先から新しいファイルが届いた一方、追加費用の回答はまだない。こうした場面では、ファイルを一か所へ集めるだけでは判断に必要な情報がそろいません。「新しいファイルがある」と「納品してよい」は分け、作業時間と外注費から案件の完成までの原価を見ます。修正が当初契約に含まれるか、素材を使えるかは、それぞれ別に確かめます。

制作物2点に修正3回が発生した案件を見ていきます(想定例)。LPの修正作業は終わっていても、顧客の回答はまだ。使った原価は予算内でも、残る作業を含めると1万円の超過見込みです。進行と原価に、違う種類の「まだ終わっていない」が残っています。

案件全体より、制作物ごとの現在地を見る

案件は受注条件と予算をまとめる単位、制作物は版と回答状況を追う単位とします。同じ案件でも、LPとバナーでは修正先や回答期限が異なるためです。進行担当が案件IDを発行し、制作物ごとの名称・数量・回答する人を登録します。

ADMANでは、案件に売上・原価を関連付ける機能が紹介されています。稼働時間から社内原価を管理する機能は、クラウド版ではオプションとして案内されています(出典:サイネット「ADMAN」、サイネット「機能・オプション」)。

契約額300,000円、原価予算200,000円で、キャンペーンLPと告知バナーを各1点制作します。以下の金額は税別、状態は2026年9月15日時点です。英語版の追加相談は未合意のため、制作物数に含めません。

案件PJ-053の現在地(説明用の架空例)

制作物 今の状態・次にすること 参照する版
キャンペーンLP 余白調整を提出済み。9/16に顧客の回答を受ける予定 D-01:作業v03/顧客確認済みv02
告知バナー 写真差替えを9/11に顧客確認済み。最終納品準備へ D-02:作業・確認済みともv02

担当交代時には、案件全体の「進行中」だけでなく、この制作物単位の行を渡します。最新作業版が更新されても、顧客確認済み版は回答の根拠がそろうまで書き換えません。

どの素材を使い、どの版を直したか

素材は顧客から受け取った原稿や写真、制作版はそれらを使って作った成果物です。素材IDと受領版を付け、どの制作版に何を使ったかを残します。LPのv02とv03で同じ原稿TXT-r02を使うように、一つの素材版が複数の制作版に対応することもあります。

本例のバナーv01は写真IMG-r01を使い、v02では高解像度のIMG-r02へ差し替えます。進行担当は受領日・保管先・使用先を登録し、旧素材と旧制作版を上書きせずに保持します。リンク先のファイル自体が更新される保管方法なら、保存時点を再現できる版固定の参照先も残します。

受領済みという記録だけで、利用可能とは扱いません。本例では利用条件が本件のWeb掲載に限られることを確かめ、根拠記録RIGHT-02を付けます。実務では、誰から何の目的・媒体・期間で使用を認められたかを担当者が記録します。条件が不明なら「権利確認待ち」とし、公開用の採用を保留します。

別案件、別媒体、実績紹介へ転用する場合は、元の許諾内容を別に確かめます。

作業が終わっても、顧客の回答待ちは残る

修正は一件の指摘IDから追います。対象版、指摘箇所、元のメッセージ、担当、期限を登録し、修正後に対応版を追加します。「対応済み」は制作側の作業完了、「確認済み」は指定した確認者から回答を受けた状態として分けます。確認者名を入力しただけでは確認済みにしません。

表1は、顧客の指摘をまとめて対応版を一つ作った単位を「修正1回」と数える例です。LPの見出しを直し、バナーの写真を差し替え、最後にLPの余白を調整しました。案件全体で3回、LPが2回、バナーが1回です。この数え方は集計上の定義であり、契約で対価を求めずに直す回数を決めるものではありません。

修正3回と、素材版・外注納品版を照合する

表1 案件PJ-053の制作物2点・修正3回と外注納品の履歴(想定例)。日付は2026年、金額は円・税別です。素材版は修正後の対応版で使う素材を示します。

指摘・制作物 対応日・素材・制作版 確認結果・追加範囲 外注納品版・費用
R-01:見出し修正/D-01:LP 9/7受付 → 9/7対応。TXT-r02を使用、v01 → v02 顧客窓口A:9/8確認済み。当初範囲内 社内対応。修正追加0円
R-02:写真差し替え/D-02:バナー 9/9受付 → 9/10対応。IMG-r02を使用、v01 → v02 顧客窓口A:9/11確認済み。当初範囲内 O-01:o01(9/8)→ o02(9/10)。本体50,000円(C-01)、差し替え追加0円
R-03:余白調整/D-01:LP 9/14受付 → 9/15対応。TXT-r02を使用、v02 → v03 顧客窓口A:確認待ち、期限9/16。ADD-01英語版追加は未合意・未着手 余白は社内対応、修正追加0円。ADD-01の費用は別管理

R-03は9月15日にv03を提出しましたが、顧客の回答はまだありません。進行担当は9月16日に回答を問い合わせ、回答日・確認対象版・根拠記録がそろってから状態を更新します。同時に来た英語版追加はADD-01へ切り分け、余白の修正に混ぜて完了扱いにしません。対応版を作っていない追加相談なので、4回目の修正にも数えていません。

ファイルの受領と、外注費の確定

外注には依頼IDを付け、制作物ID、渡した素材・対象版、納品予定日、依頼内容、受入担当、金額の根拠を対応付けます。依頼、ファイル受領、内容確認、顧客確認は別の出来事です。受領しただけで顧客確認済みにしたり、納品版を更新しただけで委託先への支払いが増える扱いにはしません。

O-01の外注納品履歴(説明用の架空例)

日付 依頼・納品版 残す結果
9/8 O-01・o01 初回納品を受領。旧版として保持
9/10 O-01・o02 R-02の差し替え納品を受領。確認中
9/11 O-01・o02 進行担当Bが内容・金額を照合。顧客確認はAP-02で別記録

O-01の本体費50,000円は、費用ID C-01に一度だけ登録します。本例の差し替えは当初の依頼範囲内と判断したため、追加は0円です。未確認の金額を0円と入力する運用ではありません。履歴が増えても、C-01の50,000円を重複して足しません。

一方、LPのコーディングO-02は80,000円で発注済みですが、9月17日の納品予定です。9月15日時点では「発注残」に置き、実績と区別します。ADD-01は顧客への提案額60,000円、外注見積り20,000円で、未合意・未発注・未着手です。担当者が範囲、納期、料金を決めてから、必要な制作物IDや発注を追加します。

実績は予算内でも、完成までに1万円超える

案件原価は、費用IDごとの外注費と、作業記録ごとの時間×社内原価単価を集計します。実績への振り替え時点と社内単価の決め方は、自社の運用として決めます。

本例の社内作業は、9月1〜15日の実績14時間に説明用単価4,000円/時間を掛けて56,000円です。LPが8時間、バナーが6時間で、単価は顧客への請求単価ではありません。合意済み範囲の残作業は6時間、24,000円と見込みます。

PJ-053の原価(説明用の架空例/2026-09-15時点/円・税別)

管理項目 金額(円) 集計条件
実績原価 106,000 外注実績50,000+社内実績56,000
外注の発注残 80,000 O-02。未納品で実績には未算入
残作業の社内原価 24,000 6時間×4,000円/時間
完成見込み原価 210,000 106,000+80,000+24,000
予算との差額 −10,000 予算200,000−完成見込み210,000
契約額との差額 90,000 契約額300,000−完成見込み210,000
未合意の参考額 別管理 ADD-01:提案60,000/外注見積り20,000

実績だけを見ると106,000円です。残る費用も含めると、予算を10,000円超える見込みです。契約額との差額90,000円は、ここで定義した費用だけを差し引いた管理上の値であり、会計上の利益や確定した粗利ではありません。税・間接費・その他経費は含めていません。

未合意の提案額60,000円は契約額に含めません。外注見積り20,000円も、発注済みとは区別します。ただし、未合意でも既に作業してしまった時間や発生済み費用は隠さず実績に記録し、回収条件は別に話し合います。O-02を実績へ移すときは、同じ費用行の区分を変え、発注残を重ねて残さない運用です。

管理表の使い方と、既製品・追加開発の分かれ目

Excel管理表は「例_」で始まる記入例と「空_」で始まる未記入版を分けています。案件・素材版・修正を入力し、外注の費用台帳と受領履歴、工数、追加範囲を対応付けます。採算表では案件IDと契約額・予算・集計期間を設定します。入力欄の空欄は未確認、0は確認済みのゼロとして使い分けてください。内容を確認して採算表の「入力完了確認」を「確認済み」にすると集計されます。

各表の入力範囲は20行です。行を増やす場合は、採算表の集計式と入力チェックの参照範囲も延長します。追加した外注費や工数が集計に入り、同じ費用が実績と発注残の両方に残らないか、1件入れて試してください。

少数の制作物を同じ担当が追えるなら、まず表と既存の保管先で運用できます。既製品で版固定の参照、回答者の記録、費用の一回集計が自社の流れに合うなら、その機能を使う選択肢があります。承認の順番が取引先ごとに異なる、承認した追加条件を発注・原価へ渡せない場合は、連携や追加開発を比較します。既製品と開発を併用する方法もあります。

現在の案件表と、確認待ちや追加依頼が残る一案件をそろえると、表の整備・既製品との連携・追加開発の範囲を比べやすくなります。

映像の試写・素材版、印刷の校了版・外注工程、言語別の担当・校正が中心の場合は、業務に合う案内を用意しています。

発注済みの費用が実績へ変わるときは、発注残を同時に減らすと二重計上を防げます(案件別の原価と利益|予算・発注・実績のつなぎ方)。

広告・制作会社の案件・修正・外注原価管理の進め方を見る

参考出典

出典確認日:2026年9月15日。案件別の売上・原価管理と稼働管理の提供条件を参照しています。

あわせて読む

状況にあわせてご相談ください

いまの状況を選ぶだけで、次に決めることが見えてきます。気になる点があれば、こちらからお返事します。