たとえば、山土場から12m³を搬出したのに、納材先の受入票は11.8m³。この0.2m³を、そのまま土場の在庫から減らしてよいでしょうか。この例では減らさず、差の理由を調べます(想定例)。搬出側と受入側で測定条件が異なり、どの作業地の材に差が出たかもまだ分からないためです。
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搬出は12m³、受入は11.8m³。差の0.2m³を在庫から引いていい?林業の数量記録
二つの作業地から集めた素材を、山土場から2便で搬出する例を追います。混載や分割搬出でも、どの作業の素材かをたどり、測定差と納材確認を記録。記入例・空欄版のExcelで数量を見比べられます。
影山 湧亮 / NeoLogic株式会社 代表取締役。元警視庁。現場業務の整理と生成AI活用・Webシステム開発を一貫して担当。

二つの作業地の丸太を同じ土場に集め、二便に分けて運ぶ例を追います。
林野庁の2026年3月のガイドには、静岡県の山土場の生産情報と納品確認、鳥取県の出荷・入荷情報の突合、群馬県の素材生産計画・実績の共有が掲載されています。地域ごとの事例として、記録のつなぎ方を考える参考になります。
公式の証明手続きには所定の資料を使い、材積算定、測量、所有権、伐採可否、作業安全の判断は各基準と担当者の判断に従ってください。
どこで、どの作業をした材か
区画IDは対象の場所を参照する番号、施業IDは期間と作業内容を区別する社内の案件番号として使います。林班・小班等の既存番号は、管理元と番号体系を添えて区画IDへ対応させます。地番と施業IDを分け、別の管理元で同じ番号を使う区画も区別します。
たとえば作業地Aに、間伐・素材生産の案件と、搬出の案件を設けます。搬出案件には生産案件への参照を残し、同じ材を二つの案件の生産量へ重複計上しないようにします。作業地が区画の一部だけなら、その対象範囲を既存図面の版とともに残します。
| 管理するもの | 架空の番号例 | 区別する内容 |
|---|---|---|
| 場所 | 区画Q-A/作業地A(S-A)/共用土場(Y-01) | 区画/作業地/保管する山土場 |
| 作業案件 | W-A01/W-A02 | 間伐・素材生産/搬出 |
| 材と移動 | L-A/T-01/SH-01-1 | 素材ロット/搬出便/出荷明細 |
所有者に関する資料が更新された場合は、参照ID、適用期間、根拠資料、版を履歴として残し、作業時点の参照内容をたどれるようにします。過去の案件もその時点の情報を保持します。所有権や伐採可否は、GISの境界表示や参照履歴だけで判断せず、必要な資料で別に確かめます。
同じm³でも、比べられるとは限らない
材積は、本数だけから決まりません。別の説明例として、同じ20本でも太さや長さが異なれば4.00m³と3.80m³になることがあります。以下の台帳で一部の値が1本当たり0.20m³にそろうのは架空例の設定で、共通の換算係数ではありません。
同じm³でも、立木の推定値と、造材後の丸太を測った値は別の欄に記録します。樹種、対象の材、測定日時、測定方法、元資料、数量の状態を残します。規格、算定方法、丸め方などの比較条件も、条件IDで元の説明へ戻れるようにします。
| 対象 | 立木推定材積(m³) | 土場入荷材積(m³) |
|---|---|---|
| 作業地Aの材(Q-A/L-A) | 18.00 | 12.00 |
| 作業地Bの材(Q-B/L-B) | 11.00 | 8.00 |
この例の推定値は9月8日の施業対象立木、入荷値は9月10日に共用の山土場へ入った丸太です。対象と段階が異なるため、18.00−12.00を損失と扱いません。立木推定は参考列に置き、在庫は丸太の入荷・搬出から計算します。材積には丸太ごとの測定記録を使います。
入荷・搬出は、同じ丸太の検知明細から対象行を集計した値を使い、比較条件をM01とします。検知は、ここでは丸太の本数や寸法等を測った記録を指します。M01は例の条件IDで、実運用では採用する測定・算定方法を定義します。測定法が不明の値は「条件未確認」として集計を保留し、概数と測定済みの値も分けます。
二つの作業地から、二便の搬出を追う
ロットは、出所と数量を追う材のまとまりです。作業地Aの材は60本・12.00m³、作業地Bの材は40本・8.00m³として共用の山土場へ入れます。対応表ではそれぞれL-A・L-B、土場をY-01と表します。同じ場所に置いても、札や明細で識別できる間はロットを分けて残します。以下は2026年9月10日0時から12日18時までの記録で、期首在庫、返品、加工、廃棄、追加の入荷はない条件です。
9月11日の1便目は、作業地Aから40本・8.00m³、作業地Bから20本・4.00m³を混載します。出荷票は作業地ごとの明細にします。9月12日の2便目で、作業地Aの残り20本・4.00m³を搬出します。一つのロットが複数便へ分かれ、一便に複数ロットが載る関係です。
作業地2か所・山土場1か所・搬出2便の対応です。矢印は記録の受渡しを示し、便の内訳は出荷明細で保持します。
土場の帳簿残量は、同じ条件で記録した入荷量から搬出量を引きます。作業地Aの材は12.00−(8.00+4.00)=0.00m³、作業地Bの材は8.00−4.00=4.00m³です。本数も100本の入荷から80本を搬出し、20本が残ります。帳簿残量を出したうえで、現物とも照合します。
土場の材積と本数をロット別に照合する
ロット別の材積(m³)
| ロット | 入荷 | 搬出 | 帳簿残量 |
|---|---|---|---|
| L-A | 12.00 | 12.00 | 0.00 |
| L-B | 8.00 | 4.00 | 4.00 |
| 合計 | 20.00 | 16.00 | 4.00 |
ロット別の本数(本)
| ロット | 入荷 | 搬出 | 帳簿残量 |
|---|---|---|---|
| L-A | 60 | 60 | 0 |
| L-B | 40 | 20 | 20 |
| 合計 | 100 | 80 | 20 |
便別の数量照合(m³)
| 搬出便 | 搬出 | 受入 | 参考差 |
|---|---|---|---|
| 1便目(T-01) | 12.00 | 11.80 | −0.20 |
| 2便目(T-02) | 4.00 | 4.00 | 0.00 |
1便目の受入票は便合計60本・11.80m³、2便目は20本・4.00m³です。1便目だけ受入側が別の測定条件を使っているため、受入−搬出の−0.20m³は参考差として残し、「差異確認中」にします。2便目は入荷・搬出と同じ条件で測定し、数量が一致した「照合済み」です。配布資料では受入票をRC-01・RC-02、搬出側の測定条件をM01、別の受入条件をM02と表します。
搬出側と受入側の測定条件の違いを調べるときは、出荷側の検知明細と受入側の測定明細を並べ、次の順で照合します。
- 同じ60本を数えているか。別便の材や、受入対象から外した材が混ざっていないか。
- 丸太ごとの長さと径を、どの位置・単位で測ったか。測定値を対応付けて比べられるか。
- 採用した算定方法と端数処理は同じか。一本ごとに丸めたのか、合計してから丸めたのか。
違いが分かったら、元の明細、測定条件、調べた担当者と結果を残します。この例では受入側の測定条件の詳細が分からないので、差の原因はまだ決めません。使う算定方法の適否は、取引で採用した基準と担当者の判断に従います。
受入時の測定差は土場残量から差し引きません。1便目の受入票には作業地別の再測定値がないため、差を作業地AとBへ比率で割り振ることも避けます。納材確認と数量照合は別々に進めます。
混載前の内訳が残っていない場合は、「区画別内訳不明」として区画別実績の確定を止めます。複数区画の材をまとめたロットでも、根拠がそろったロット総量・便総量は扱えます。後から内訳の根拠を得たときは、修正理由と版を残して更新します。
現場の記録を事務所で突き合わせる
現場担当は、作業地ID、ロットID、測定時刻、概数か測定済みか、元の野帳や写真の参照を残します。圏外では端末内の仮記録IDと保存時刻を持たせ、帰所後に送信結果を見ます。通信の「未送信」、作業の実施状況、数量の照合状況は分けて管理します。
搬出担当は、便ID、出荷票と明細番号、ロット別の数量を記録します。事務担当は、帰所後に野帳・出荷資料・受入資料を突き合わせ、仮記録の二重取込み、ロットの取り違え、測定条件、同じ伝票の版違いを順に調べます。取込みキーには明細IDを使い、日付と車両番号だけで同じ記録と判断しないようにします。
納材先の受入確認を得たら、受入票番号、受入日時、確認者を残します。条件と数量がそろえば照合済みとし、差や内訳不足があれば元の検知明細・出荷明細へ戻します。1便目は納材確認を済ませても差異調査を続け、2便目は同条件で数量が一致した例です。訂正前後の値、理由、確認者、日時は履歴に残します。
今ある地図や台帳から取り出せる項目
図面を作り直す前に、地域の運営主体や現在のシステム担当へ、区画ID、出荷明細ID、CSV等の出力項目、更新日・版の持ち方、利用権限と二次利用条件を問い合わせます。出荷票が便合計しか出せないなら、区画別実績の照合にはロット別の補助明細が必要です。所有者の連絡情報は必要な担当者と用途に絞って共有します。
| 進め方 | 適する条件 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 地域の既存システム | ロット別明細と確認状態が標準でつながる | ID、出力、利用条件。足りれば既存機能を使う |
| Excelで照合 | 担当と更新手順を決めて明細を点検できる | 一意の明細ID、確認者、版、保存先 |
| 記録連携を追加 | 既存の地図等を残し、転記や受渡しをつなぐ必要がある | 元データ、取込みキー、訂正・未反映の扱い |
連携機能がなくても、区画CSVの「管理元+区画番号」を社内区画IDへ対応させ、施業ID、ロットIDを経由して、出荷CSVの「出荷票+明細番号」へつなぐ最小照合表から始められます。SH-01は2明細であり、便合計を2行へ複写して合計すると二重計上になります。明細数量を元データとし、便合計はその集計結果にします。
記入例と空欄版、項目説明、CSV接続例をまとめた照合用記入シート(Excel・版1.1)を用意しました。まず同条件で測った二つのロットと二便で、出所、残量、差異の戻り先まで追ってみてください。数量欄の文字・負数・本数の小数は要確認とし、不明な数量の確定を保留します。
入力・集計欄は各20行です。期首在庫や返品等がある業務、同じロットの追加入荷、一便に複数の出荷票・受入票・納材先がある業務では、受払いと対応関係を追加する設計が必要です。圏外入力の同期や材の寸法・加工・取引単位も、実際の明細に合わせて決めます。
既存ツールでも日報・素材数量・搬出票の対応付けに課題が残る場合は、現在の仕組みを生かした記録連携を相談できます。
搬出後の材料を切断・加工する場合は、本数・長さ・重量と端材をそろえる考え方も役立ちます(建材の数量管理|寸法・加工・端材・単位をそろえる)。
参考出典
出典確認日:2026年9月15日。
製材後の寸法・本数、乾燥中の在庫、加工元のロットまで追う場合は、木材・製材の寸法・材積・在庫管理が関連します。



