FAX・メールの注文をまとめるには、受信ごとの受付番号と、取引先の注文番号を分け、原本・版・確認状態を対応付けます。似た注文は重複候補にとどめ、確かめずに削除しません。
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FAXとメールで同じ注文が2回、しかも「12個に変更」。受注の二重登録を防ぐ方法
同じ注文が届き直したのか、数量が変わったのかを、6件の受信例で見分けます。受信記録と注文を対応付け、原本から出荷・請求へ渡す内容まで追えるExcel台帳と、印刷用チェック表付き。
影山 湧亮 / NeoLogic株式会社 代表取締役。元警視庁。現場業務の整理と生成AI活用・Webシステム開発を一貫して担当。

たとえば、朝にFAXで届いた10個の注文が、数分後にメールでも届く。さらに「12個に変更」と追記される。受信した順に販売管理へ入力すると、再送を別注文にしたり、訂正前の数量を出荷担当へ渡したりしかねません。
OCRによる文字の読取りと、「再送か、変更か、別注文か」を決める仕事を分けて考えます。
卸・製造の営業事務が、既存の販売管理へ確定データを渡す前段の手順です。注文番号がない場合や、同じ内容の別注文は相手に問い合わせ、取消は取引条件に従って扱います。
注文の入口と受付番号をそろえる
FAXをやめたり、全取引先を一つの窓口へ移したりすることから始める必要はありません。まず、自社が受けた注文を同じ台帳へ集めます。見る場所をまとめても、届いた記録は一件ずつ残します。
受付番号(受付ID)は、FAXやメールを受信するたびに付けます。同じ注文の再送でも別の受付IDを使い、受信日時、経路、送信元、原本の保管先を残します。メールは添付に加え、件名や本文、送信元・受信日時も保存します。担当者が原本を参照できることも確かめてください。
取引先の注文番号は、相手が付けた番号です。自社では別に社内受注IDを持ち、複数の受付を一つの注文へ結び付けます。「FAXとメールの2通を受けた」と「注文が2件ある」を区別するためです。
PFUのDocuWareの受注管理の説明には、FAX・メール等の注文書の集約、関連文書のひも付け、承認状態の管理、OCR読取りと承認後のCSV出力が紹介されています。こうした機能を使う場合も、再送や変更の確認方法は決めておきます。
6回の受信を、そのまま6件の注文にしない
取引先Aから届いたフィルターの注文を比べます(想定例)。単位は個、注文日は2026年9月15日、納期は9月18日です。表は同日12:00時点の状態を示します。
12時時点で次へ渡せるのは、別注文R05の10個だけです。6回の受信は、次のように三つの注文候補へまとまります。
| 届いた記録 | 何が起きたか | 12時時点の扱い |
|---|---|---|
| R01 → R02 → R03 → R04 | 初回10個 → 再送 → 合計12個へ変更 → 全量取消 | SO-001は取消確定。通常の注文として転送しない |
| R05 | 同じ商品を10個、別の注文番号で注文 | SO-002の10個を転送し、受領確認済み |
| R06 | 注文番号がなく、新規か再送か不明 | 確認待ち。転送しない |
原本と入力した明細をつなぐ
注文全体には取引先、注文番号、注文日、届け先を、明細には商品コード、数量、単位、納期を持たせます。原本が複数ページなら、ページ番号と明細の位置も残します。後から「この12個はどの記載から入力したか」をたどれる形です。
読取り結果を確定する前に、原本と照合します。たとえば「10箱」を「10個」と読めば、数字だけ合っていても注文は違います。自社の商品コードや単位へ置き換える場合も、相手の表記と対応付けた根拠を残します。読めない欄をゼロで埋めず、空欄のまま止めてください。
最初の注文は10個、変更後は12個です。台帳には変更前10個と変更後12個を入力し、変更数量を「変更後−変更前」で計算します。結果は+2個です。「12個へ変更」を「12個追加」と扱わないために、数量の意味を相手に聞きます。
配布する原本見本R05には、次の注文文があります。
注文番号 A-0915-02 にて、フィルター F-10 を10個注文します。A-0915-01とは別の注文です。
この受付を社内の受注記録へ結び、フィルター10個、納期9月18日と登録します。11時40分に別注文という相手の回答も得た記録です。商品・数量・納期が同じでも、先の注文の再送にはまとめません。
この台帳では初回の変更前数量を0とし、初回10個は差分+10個と表示します。取消確定は12→0個です。受付行の差分や数量を全行合計して受注総数にせず、再送や旧版を含む履歴と、いま有効な注文を分けて参照します。
同じ注文の再送を見分ける
まず取引先と注文番号、対象日で候補を絞ります。本例の対象日は注文日です。番号を毎月使い直す取引先なら対象期間を含めるなど、番号の使われ方に合わせます。日付が違うだけで別注文と決めず、原本や相手の回答に戻って確かめます。
R01とR02は取引先・注文番号・注文日が同じです。それでも、この一致だけでは再送と確定しません。明細や本文を比べ、「先ほどのFAXの控え」という相手の回答まで得て、R02を再送記録にします。R01のv1にひも付け、新しい注文や版は増やしません。
一方、R05は商品・数量・納期がR01と同じでも、注文番号が違い、別注文だと分かっています。SO-002として残します。番号のないR06は、仮の管理IDを付けて照会中にし、新規・再送の判断、版、確認者は未確定のままです。
添付ファイルが似ていることや、数量が同じことは、判断の手がかりです。候補を見せ、判断の結果と理由を残す運用にします。
数量変更・取消を確かめる
変更を受けたら、どの注文のどの明細を、何から何へ変えるかを記録します。相手の回答、確定した担当者、時刻を残して版を進めます。R03は10:00に受信し、10:10に「合計12個」と回答を得てv2にしました。v1は消さずに旧版へ移します。
原本見本R03の数量変更(10:10確認時点)の依頼文です。
A-0915-01 の F-10 を、10個から合計12個に変更してください。2個の追加です。
受付担当は原本と候補をそろえ、確定担当は変更の意味と社内の手配状況を調べます。少人数で兼務する場合も、受付と確定の状態は分けます。変更・取消の照会中は、対象注文の旧版をそのまま転送しないよう、転送保留を付けて関係者へ知らせます。
R04の取消依頼は11:00に届き、11:15に相手の回答と社内承認がそろっています。本例は、合意した条件内で、まだ販売管理への転送も出荷もない全量取消です。そのためv3を取消確定とし、通常の注文データは送りません。
取消を確定するには、取引条件、取消対象、すでに製造・出荷・請求へ進んでいないかを調べます。対応できるか不明なら、取消依頼のまま保留します。転送済みなら送り先の訂正・取消方法に従い、反映された結果まで確かめます。一部出荷後の返品や精算は、別に扱いを決めてください。
出荷・請求へ渡す
渡すのは、現行版で、確認済みで、取消や照会による保留がない明細です。送信前には、同じ社内受注ID・明細で現行版が複数ないか、すでに転送していないかを照合します。
最初の注文は、変更前の版と再送記録を含めて、通常の転送対象から外します。全量取消が確定したためです。番号のない注文は回答を待ち、別注文と分かった10個だけを転送します。
R05は11時50分に転送し、11時52分に取込先のV-002と数量10個の受領を照合しています。送っただけでは完了にせず、結果が分からないときは送り先の記録を見てから再送します。転送IDはT001として追えます。
請求へ渡す場合も、出荷・納品の実績や取引条件を後工程で照らし合わせてから、売上や請求を確定します。
Excel・既製品・追加開発の分け方
担当を決めて原本・版・転送結果を追える範囲なら、まずExcel台帳で運用を確かめる方法があります。ファイルを複製して並行更新しない置き場所と担当を決めて使います。標準の取込・照合・出力機能で例外まで扱えるなら、既製品を優先して検討できます。
複数人の同時処理、取引先ごとの変更ルール、販売管理への訂正・取消連携を人の照合だけでは追い切れない場合は、不足箇所の追加開発が検討対象です。台帳、文書管理、販売管理は併用できます。必要な受渡し部分から検討するなら、取引先EDI・注文データの連携開発、仕入・直送・分納まで含むなら卸売の受発注・販売・在庫管理の開発が相談先です。
6件すべての原本・版・転送結果を照合する(表1・2)
表1|受信原本と注文を対応付ける
| 受付ID・受信時刻 | 経路・原本の保管先 | 注文番号/社内受注ID | 版・明細採用 |
|---|---|---|---|
| R01/09:00 | FAX/同梱見本R01 | A-0915-01/SO-001 | v1/旧版 |
| R02/09:05 | メール/同梱見本R02 | A-0915-01/SO-001 | v1/再送記録 |
| R03/10:00 | メール/同梱見本R03 | A-0915-01/SO-001 | v2/旧版 |
| R04/11:00 | メール/同梱見本R04 | A-0915-01/SO-001 | v3/現行 |
| R05/11:30 | FAX/同梱見本R05 | A-0915-02/SO-002 | v1/現行 |
| R06/11:45 | メール/同梱見本R06 | 未記載/仮-003 | 未確定/未確定 |
表2|変更・取消・転送結果を分ける
| 受付ID | 数量(個)/変更数量 | 取消・確認者 | 転送結果 |
|---|---|---|---|
| R01 | 0→10/+10 | なし/担当A | 未転送(旧版) |
| R02 | 10→10/+0 | なし/担当A | 対象外(再送) |
| R03 | 10→12/+2 | なし/担当A | 未転送(旧版) |
| R04 | 12→0/-12 | 確定/担当B | 対象外(未転送の取消) |
| R05 | 0→10/+10 | なし/担当B | T001/10個受領確認済 |
| R06 | 不明→10/未計算 | なし/未確定 | 未転送(照会中) |
表1・表2は同じ6件を受付IDで対応付けています。原本の保管先は、配布資料に入れた受信内容の見本です。
受付台帳と確認チェックを使う
まず、再送や変更のあった注文を一つ選び、届いた原本を時刻順に並べてください。Excel台帳の「記入例」で6件の流れを見てから、同じ列の「空欄版」に自社の注文を記入します。末尾の数式は照合候補や未完了を知らせる補助です。候補を確定する判断と、取消の可否は担当者が判断します。
Excel受付台帳・原本見本のセット(ZIP)を展開し、台帳と原本見本を同じフォルダーに置いて使ってください。印刷用の台帳見本・確認チェック(PDF)には、見本、記入用チェック、R05の記入例を収録しています。台帳だけを使う場合は、受付台帳(Excel)も取得できます。
入口のデータ化から検討する場合は紙・FAX・手書きのデータ化|確認と訂正の進め方、更新元や訂正経路の整理は二重入力を減らす|更新元と訂正の決め方が次の読み物です。
メールやフォームの入力を自動化するなら、再取込と途中失敗を含む台帳登録の例が使えます(メール・フォームの台帳登録|重複と訂正への備え)。
参考出典
出典確認日:2026年9月15日。発行日・対象製品版の表示はありません。台帳の項目と確認手順は本記事の運用提案です。


