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帳簿98個・現物98個、それでも合っていない。倉庫の荷主別在庫の管理

同じ品番でも、別の荷主の商品を合算せずに管理します。2荷主の記入例で、入庫予定と実績、取り置きと出庫、棚卸しの差を追います。棚番との対応や閲覧・報告の範囲も書ける在庫台帳付き。

倉庫の在庫を荷主Aと荷主Bに分け、それぞれの帳簿と実物を照合するイラスト

倉庫の荷主別在庫は、同じ商品名・品番でも、合計数に加えて「誰の在庫を、どの指示で動かしたか」を荷主IDで記録して管理します。

たとえば、棚卸しで帳簿98個、現物98個。一致しているようでも、荷主Aの在庫が1個少なく、荷主Bの在庫が1個多ければ、調査は終わりません。別の会社から預かった品物なので、差を相殺できないためです。

二つの荷主と二つの棚で考えます(想定例)。

同じ商品が並ぶ棚でも、誰の在庫かを識別できるようにします。荷主・商品・場所の組合せをそろえ、入出庫や取り置きの記録を同じ荷主の数量と突き合わせます。同じ品番やバーコードでも、所有者が違う在庫を不足分へ勝手に融通しません。混載保管でも、記録と現物の両方で区別できる状態を保ちます。差が出たときに原因を調べる順番は、在庫が合わない原因の調べ方にまとめています。

同じ商品でも、誰の在庫かを見分ける

A社とB社から、同じ品番の「保管ケースS」を預かる例です。同じ棚に置いても、A社の分とB社の分を別の在庫として数えます。台帳では荷主・商品・棚の番号を組み合わせて見分けます。

自社所有品は荷主IDを空欄にせず、例えば「SELF」を設け、預かり品とは別の行にします。複数倉庫で棚番が重複するなら倉庫IDも加えます。ロット・期限・在庫状態で出荷可否が変わる場合は、その区分も照合条件に追加してください。

ロジザードZEROでは、「荷主追加」「倉庫追加」のオプションで複数荷主・複数拠点に対応し、商品と棚番を結び付けて管理できます(出典:ロジザード「よくあるご質問」、システム欄)。

棚を共用する場合も、荷主ID付きの荷札や容器番号で現物を区別します。品番だけを読んで所有者が確定しない荷物は、入庫・出庫の確定を止め、荷主窓口へ問い合わせます。荷主マスタと品目の対応は管理担当が登録し、現場担当が伝票・荷札との一致を確認する分担にします。

到着予定と、受け取った数を記録する

入庫予定は到着の見込みであり、受領済みの在庫ではありません。予定数、実際に受け取った数、検品の合格数・保留数を分け、受領記録を予定にひも付けます。予定数を実績欄へ先にコピーすると、未着分まで在庫として扱う危険があるためです。

2026年9月14日、両社とも在庫0個から始めます。A社から100個届く予定でしたが、受け取ったのは98個でした。棚1に置き、検品で96個を合格、2個を保留にします。B社の品物は棚2で予定どおり80個を受け取り、すべて合格となります。単位はすべて「個」です。

この例では、受領した98個を物理在庫の帳簿に計上し、検品保留2個は出荷対象から外します。未着2個は予定との差として残し、受領済みの保留2個と混同しません。検品完了時に在庫計上する運用を採るなら、未計上の受領品も別の受領記録で追えるようにします。

受領担当が数量・時刻・記録IDを入力し、検品担当が状態を確定します。予定との差は荷主窓口へ引き継ぎ、再納入・予定訂正などの回答を記録します。保留品を良品に変える場合も、判断者と根拠を残してから引当可能数へ反映します。

取り置きと出庫は、同じ荷主の指示へ結び付ける

引当は、特定の出荷指示のために在庫を確保することです。商品だけでなく、荷主IDと指示番号を一緒に照らし合わせます。指示に複数明細があるなら行番号も付けます。予定変更や取消しは元の指示へひも付け、履歴を消さずに残します。輸入した荷物を倉庫へ入れる前の、船積みごとの書類と費用のまとめ方は、貿易・フォワーダーの船積み単位の管理例にあります。

両荷主が同じ指示番号「SO-001」を使う例を追います。まずA社は10時30分に60個を引き当てます。引当は取り置きなので、この時点では帳簿在庫98個を減らしません。

次に、A社の取り置きしていない良品20個を棚1から棚2へ移します。置く棚を変えただけなので、所有者も在庫の合計も変わりません。その後、棚1から50個を出庫すると、A社の帳簿在庫は48個、取り置きの残りは10個です。

B社は30個を取り置きした後、それとは別の良品10個を棚2から棚1へ移し、棚2から30個を出庫します。B社の引当はすべて出庫したため、残りは0個です。指示番号が同じでも、A社の10個とは別に管理します。

有効引当は「引当累計−取消累計−出庫実績」で求めます。今回は取消し0個。棚移動は移動ID、移動元・先、数量、完了時刻を残し、元の減少と先の増加を対で照合します。出庫時も荷主・商品・棚番・指示番号を照合し、指示数を超えていないか確認します。

2荷主の入庫・引当・出庫を照合する(表1a)

表1a 同じ商品名・品番を持つ2荷主の入庫・引当・出庫(架空例)。

管理項目 A社(OWN-A) B社(OWN-B)
商品ID P-100 P-100
商品名 保管ケースS 保管ケースS
入庫棚番 棚1(R-01) 棚2(R-02)
入庫記録・受領時刻 IN-A01・9:00 IN-B01・9:20
検品完了 10:00 10:00
引当/棚移動/出庫の時刻 10:30/11:00/13:00 10:35/11:15/13:10
入庫予定 100 80
受領実績 98 80
検品 合格/保留 96/2 80/0
指示番号 SO-001 SO-001
指示数/引当累計 60/60 30/30
出庫実績 50(R-01) 30(R-02)
有効引当 10(R-01) 0

注:期首在庫・引当取消は0。保留品は出荷しない設定。有効引当は15:00時点。出庫は当日実績。

合計が合っていても、荷主ごとの差を調べる

この時点の帳簿在庫は、A社48個、B社50個です。荷主別の合計を押さえたうえで、それぞれを棚ごとに分けて実数と照合します。

棚卸では、荷主ID・商品ID・棚番・単位・基準時刻をそろえて、帳簿と現物を比較します。本例は15:00に入出庫・移動を止めて数える前提です。作業を止められない場合は、基準時刻の前後に動いた記録を切り分け、同じ時点の数量へ戻して照合します。

A社の棚1は、受領98個−移動20個−出庫50個で帳簿28個、棚2は20個です。B社の棚1は移動で10個、棚2は受領80個−移動10個−出庫30個で40個となります。検品保留2個はA社の棚1の28個に含まれています。

棚1を実際に数えると、A社の品物が27個、B社の品物が11個だったとします。他の棚は帳簿どおりです。倉庫全体は帳簿98個・実棚98個で一致しても、Aには−1個、Bには+1個の差が残ります。A社の不足1個とB社の過剰1個を、それぞれ調べます。

再計数、荷札、指示・移動履歴を調べ、根拠がそろうまで該当行の追加引当を止めます。この例では差異の原因は不明で、在庫調整も未実施です。差異を見つけただけで実棚数へ書き換えず、調整する場合は理由・承認者・調整記録を残します。差異の原因調査と、所有者の変更は別の判断です。

表1b 荷主を変えない棚間移動と、荷主・棚番別の棚卸差異。倉庫全体の数量が一致しても、OWN-Aの−1個とOWN-Bの+1個は調査を続けます。

管理項目 OWN-A OWN-B
移動(良品) 20個/R-01 → R-02 10個/R-02 → R-01
帳簿在庫 R-01:28/R-02:20 R-01:10/R-02:40
実棚数 R-01:27/R-02:20 R-01:11/R-02:40
棚卸差(実棚−帳簿) R-01:−1/R-02:0 R-01:+1/R-02:0
荷主別の差 −1 +1
R-01の状態 調査中・追加引当停止 調査中・追加引当停止
公開範囲 OWN-A+倉庫担当 OWN-B+倉庫担当

棚1の差は未調整です。表の「公開範囲」は誰へ見せるかの指定で、閲覧を制限する機能ではありません。

荷主には、その会社の情報だけを渡す

倉庫の管理担当が全荷主を確認できても、荷主へ渡す情報はその荷主分だけにします。A社向けにはA社の分、B社向けにはB社の分を取り出し、自社所有の品物も除きます。基準日時、帳簿数、有効引当、検品保留、出庫実績、棚卸差、調査中か確定かを明記してください。

画面のメニューを隠すだけでは、他荷主の明細の取得を防げません。実際に使う荷主用アカウントで、一覧・検索・明細URL・CSV・PDFを試し、APIを使う場合はAPIからも他荷主分を取得できないか試します。荷主へ提供する前に、使う経路ごとに確認してください。

台帳の使い方と、仕組みを選ぶ基準

Excel台帳には記入例と同じ列の空欄版、明細履歴、確認チェック表があります。空欄版の青字セルへ自社の照合済みの値を入力し、計算セルは上書きしません。未確認は空欄のままにし、確認して動きがなかった数量だけ0とします。PDFチェック表は、受領・出庫・棚卸・荷主別報告の引継ぎ確認に使えます。

Excelの行を非表示にしたり、フィルターで絞ったりするだけで共有しないでください。対象荷主の必要列だけを別ファイルへ値として出力し、他荷主のシート・数式参照・コメントなどが残っていないことと、送付先を確認します。配布する台帳は倉庫内部用です。「公開範囲」列を設定しても、他荷主の閲覧を制限できません。

台帳は期首の取り置きが0の小規模な照合用です。明細履歴からの自動集計や、複数人が同時に入力したときの上書き防止、荷主ごとの閲覧制限はできません。期首引当の繰越や複数指示・複数ロットを扱う場合は、必要な欄と明細を追加し、集計方法を決めてください。

既製WMSの設定で荷主別の識別・引当・報告・権限と例外処理が自社条件に合うなら、まず既製機能を使う判断ができます。荷主ごとに異なる指示形式や承認・出力の照合が残る場合は、不足部分の連携・追加開発を検討します。既存WMSとの併用も選択肢です。

まず同じ品番を扱う二つの荷主を選び、棚の表示から台帳と出庫指示をたどってください。荷主と商品コードの対応、現在の台帳、出庫指示、荷主向け報告をそろえると、既製機能で足りるところと、追加の照合が必要なところを相談できます。

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参考出典

出典確認日:2026年9月15日。複数荷主・複数拠点と商品・棚番の管理機能を参照しています。

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