本文へスキップ
NeoLogic
NeoLogic

20人に依頼、提出16件、回答者14人、分母は13人。アンケートの数え方と催促

匿名性を保ちながら個別に催促できるか、再回答はどれを使うか。20人の記入例で、設問ごとに数える対象と結果を配る範囲を整理します。小規模な固定設問の調査で使える管理表・チェックリスト付き。

依頼20件、提出16件、回答者14人、有効回答13件を別々の集計票で確認するイラスト

アンケートの未回答・重複・集計は、対象者ごとの提出記録を残し、再回答の旧版を外す基準と設問ごとの分母を先に決めて管理します。

たとえば「回答は集まったのに、誰に催促すればよいか分からない」「訂正版を残すと二重に数えてしまう」。アンケートの管理では、フォームを作る前に決めたいことがあります。匿名性と個人別の未回答追跡のどちらを優先するかを決め、対象者数、再回答の採用方法、結果を見せる範囲をそろえることです。

20人へ依頼し、主調査の提出は16件。再回答の旧版2件を外すと、採用するのは14人分です。満足度の設問には空欄が1人いるので、集計の分母は13人になります。この調査の回収から報告までを追います(想定例)。

数える段階 数 この数で分かること
主調査に届いた提出 16件 訂正前の回答も含む受付件数
旧版2件を外した採用回答 14人 対象20人のうち回答があった人
満足度の空欄1人を外した有効回答 13人 満足度の割合を計算する分母

別窓口の匿名意見2件は、この流れに足しません。主調査は対象IDと名簿を対応付ける方式であり、匿名調査とは案内しない前提です。

匿名性と、未回答者への催促をどう両立するか

記名は、名前やメールアドレスを取得して回答者が分かる方式です。識別用番号は、名前の代わりに対象IDを使います。ただし、名簿との対応表が残るなら個人へ戻せるため、単に「匿名」とは案内しません。番号を使う目的、対応表を見られる担当、保管期間を回答前に伝えます。

本稿でいう匿名は、運営側が回答と個人を対応付けない運用です。個人別の提出記録も持たない場合、未回答者だけへの催促はできません。全員へ「すでに回答済みの方はご容赦ください」と案内する方法を選びます。提出済みという事実だけを別に持つ方式も検討できますが、共通IDや時刻などで回答へ戻せない設計・検証が必要で、表を二つに分けるだけでは匿名性を保証できません。

Googleフォームを設定する担当者へ:1回制限とメール収集

Googleフォームの「回答を1回に制限する」設定では、回答者はGoogleアカウントにログインする必要があります。一方、メールアドレス収集を有効にしない限り、ユーザー名は記録されないと公式ヘルプに説明されています。ログイン、メール収集、個人との対応付けは別々に確認してください(出典:Googleフォーム公式ヘルプ)。

提出16件から、回答者14人を数える

対象者一覧は「誰に依頼したか」、回答台帳は「どの提出を受け付けたか」を記録します。対象IDは人、回答IDは提出1件を表し、同じ人の再回答には別の回答IDを付けます。回答対象の追加・除外は理由と確定日を残し、回答が少ないからという理由で対象者数を後から減らさないようにします。

通し例は、2026年9月1日9時から9月3日17時までの主調査です。T01〜T20の20人へ対象ID方式で依頼し、対応可能であることを事前に案内した想定です。主調査とは別に任意の匿名意見窓口も設け、匿名意見は提出確認にも主調査の数値集計にも使わないと区別します。時刻はすべて日本時間です。

表1 20人の回収状況を、匿名意見と分けて数える

記録の区分 確定した数と扱い
主調査の対象者 20人(T01〜T20)
採用済みの回答者 14人(T01〜T14)/14÷20=70.0%
主調査の未提出 6人:途中保存の申告1人+未回答5人
主調査の提出記録 16件:採用14件+旧版2件
別窓口の匿名意見 A001・A002の2件。人数へ換算・合算しない

想定例。2026年9月3日17時締切時点。主調査と匿名窓口は別経路です。

T15は「途中保存した」と本人から申告があっただけで、送信は記録されていません。この状態を回答済みにせず、T16〜T20の未回答とも区別します。管理表に残すのは本人からの申告です。締切前に案内する場合、回収担当が最新の提出記録を照合し、T15には送信完了の確認、T16〜T20には回答の依頼を行います。

匿名のA001・A002には対象IDを付けません。記述の内容や受付時刻からT15〜T20へ当てはめたり、14人に2件を足して「16人が回答した」と扱ったりしないことが、この表の使い分けです。

再回答は、設問ごとに寄せ集めない

「最新を使う」だけでは、集計の基準は足りません。どの設問を置き換えるか、締切後の訂正を受けるか、同じ時刻の提出を誰が判断するかまで定めます。この例ではQ1〜Q3を一組とし、締切内の最新の有効な提出へ一括で置き換えます。新しい回答が空欄でも、古い回答から勝手に補いません。

再回答した人は2人です。回収担当がそれぞれの対象者・版・時刻を突き合わせ、集計担当が新しい提出を使うと決めます。旧版は削除せず、採用フラグを0にして確認理由を残します。候補検出と採用決定を分け、未確認の候補は保留にします。

表2 T03の再回答を採用した後の記録

項目 旧版 採用版
対象ID T03 T03
回答ID R003 R015
回答時刻 9/1 09:40 9/2 09:00
版 1 2
採用フラグ 0 1
設問 Q1 Q1
選択数 1 1
無回答 0 0
集計分母 対象外 13人
回答値 不満 満足

想定例。時刻は2026年・日本時間。無回答は1、回答ありは0。集計から除外した旧版には分母を設定しません。

一人が複数の出来事を報告する調査なら、「対象ID+出来事ID」ごとに最新版を選び、件数を数える方法もあります。複数選択は一つの設問内の選択数、再回答は同じ人から受け付けた提出の数として扱います。匿名で提出同士を結べない場合、似た文章だからという理由だけで重複削除しません。

回答者14人でも、満足度の分母は13人

この例のQ1は満足度の単一選択、Q2は改善希望の複数選択、Q3は任意の自由記述です。まず採用14件に絞り、その後に設問ごとの回答有無を数えます。Q1・Q2は各1人が空欄のため、それぞれ有効回答13人を分母にします。「対象20人」「採用14人」「設問の有効回答13人」を混ぜません。

この時点で二つの割合を計算できます。14人÷20人=70.0%は「依頼した人からどれだけ回答を得たか」、7人÷13人=53.8%は「満足度に答えた人のうち何人が満足か」を表します。同じ調査でも、答える問いが違います。

表3 設問ごとに分母を付けた集計

集計する内容 分子/分母 割合
Q1 満足 7人/13人 53.8%
Q1 普通 4人/13人 30.8%
Q1 不満 2人/13人 15.4%
Q1・Q2 無回答(各) 1人/14人 7.1%
Q2 手順の明確化 9人/13人 69.2%
Q2 ツール改善 8人/13人 61.5%
Q2 相談機会 4人/13人 30.8%

想定例。Q2は複数選択のため21選択/13人となり、割合の合計は100%を超えます。

Q2の割合は「その選択肢を選んだ人÷Q2に回答した人」です。総選択数21で割ると「全選択に占める構成比」という別の指標になります。添付表では未選択の設問を無回答1とし、分岐による対象外とは分けています。実際の調査で分岐を設けるときは、対象外の人を設問の分母から除く条件を追加してください。

自由記述は、原文を限られた担当だけが読み、配布用には論点を要約します。例では6人の記述を「手順」「ツール」「相談」に複数分類し、該当者数を4・2・1人としました。分類件数の合計7を回答者7人とは数えません。原文、分類、要約、確認者を管理表に残し、少数の意見も無理に多数派へまとめないようにします。

誰に、どこまで結果を見せるか

Googleフォームで「結果の概要を表示する」を有効にすると、自由記述の全文やグラフが、そのフォームに回答できる人に見えるようになります。配布先を限定したい調査では、共有前にこの設定を確認してください(出典:Googleフォーム公式ヘルプ)。

名簿と対象IDの対応表は回収担当、回答原文は集計担当、配布用の集計は承認された受け手というように、閲覧目的を分けます。役割を分けても対応表へ戻れる人がいるなら、匿名とは言いません。保存場所、アクセスできる役割、削除予定日を決め、配布版には対象ID・回答ID・細かな時刻を載せない方針にします。

少人数の属性表や自由記述は、氏名を消すだけでは個人が分かることがあります。この例の運用案では、属性別の有効回答が5人未満なら区分を統合するか非表示にし、他の表との差し引きで少人数が推定できないかも確認します。5人は本例の暫定基準です。人数だけで安全性を判断せず、記述中の部署・役職・固有の出来事も配布前に見直します。

報告書には、対象20人、主調査の採用14人、回答確認率70.0%、各設問の分母、旧版と匿名意見を分けた条件、調査期間を添えます。「従業員の53.8%が満足」ではなく、「Q1の有効回答13人のうち7人が満足」と書きます。回答した人に偏りがあり得るため、未回答6人を含む全体の意見とは断定しません。

管理表を使う場合

配布する回答管理表(XLSX)は、対象20人・40提出まで、固定3設問・分岐なしの調査用です。対象者、回答記録、設問明細、集計、確認チェックを分け、各シートに記入例と空欄版を用意しています。空欄版ではまず対象者と設定を埋め、回答記録へ入力し、採用を確認してから集計を見ます。配布前の確認は配布チェックリスト(PDF・空欄版と記入例)でも行えます。未確定が残る場合は、確定報告ではなく暫定集計として示してください。

Googleフォームの回答を、名簿と照合する手順

Googleフォームで集めた回答を管理表へ移す手順です。対象者一覧(名簿)と照合できるのは、フォームに対象IDの記入欄を設けた主調査だけです。匿名窓口の回答は名簿へ結び付けず、人数にも足しません。

  1. フォームの[回答]タブから、回答の保存先としてスプレッドシートを指定します(出典:Googleの回答の保存先の説明)。
  2. 締切前の回収確認では、途中の回答をスプレッドシートの[ファイル]→[ダウンロード]→[Microsoft Excel(.xlsx)]で保存します。締切後は最終版を保存します。元のスプレッドシートは書き換えず、控えとして残します。
  3. 保存した表の1行を、管理表の「回答_空欄」シートの1行へ写します。タイムスタンプは回答時刻、対象IDはそのまま写し、回答IDは受け付けた順にR001から付けます。経路は「主調査」、提出状態は「提出済み」とし、複数選択の設問は選択肢ごとの列に1か0で入力します。同じ提出を二重に登録せず、途中で登録した行は締切後の最終版と照合します。
  4. 同じ対象IDの2件目や締切後の提出も消さずに写し、採用フラグで扱います。採用するのは締切内の最新の有効な提出1件です。締切前は途中集計として扱い、締切後の最終版で採用回答と設問ごとの分母を確定します。
  5. 催促は締切前に行います。途中の回答を照合し、「対象_空欄」シートが「未回答」や「途中保存申告・未提出」の人だけを相手にします。締切後の確定集計では、未回答者への催促は行いません。

締切を延長する場合は、対象者全員に新しい締切を案内し、フォームの案内と管理表の締切をそろえてから再開します。

名簿にない対象ID、同じ回答IDが2回ある行、締切後の提出は、「回答_空欄」シートの検査欄に表示されます。推測で直さず、回答者本人か回収担当に確かめてから採用を決めます。

既製フォームで足りる条件と、追加開発を考える条件

一度の調査で、既製フォームの設定と担当者の管理表で提出・訂正・集計を追えるなら、まずその組み合わせで進めます。複数調査への配布や設問分岐、閲覧権限、履歴の管理が標準機能に合わない場合に、追加開発を検討します。フォームを残して、必要な管理部分を追加開発でつなぐ選び方もあります。フォームの回答を台帳へ自動で登録する場合の重複と訂正の扱いは、メール・フォームの内容を台帳へ登録する方法で説明しています。

まず、回答者に説明する「個人と回答を結び付けるか」と「誰に結果を見せるか」を書いてください。相談時には、質問票、対象者の区分、配布したい集計の見本をそろえます。NeoLogicの「アンケート・調査管理システム開発」では、配布・回答・集計を扱う範囲と、調査設計の専門監修・対象者募集・調査代行を分けて案内しています。

運用を続ける見直し役や見直しの決め方は、使われないシステムを直す|改善要望の選び方も参照できます。

来場者を対象に調査する場合は、再入場の回数と実際の人数を区別した受付記録が参考になります(イベント受付の管理|申込者・座席・入場人数)。

アンケート管理の開発相談へ

参考出典

あわせて読む

二重入力、処理漏れ、一覧の色分けという改善候補を、影響・頻度・根拠から整理するイラスト記事

使われないシステムを直す|改善要望の選び方

導入したシステムが使われないときに、改善要望のどれから直すかを選ぶ方法。二重入力、例外注文の漏れ、色分けの要望を影響と根拠で比べ、直した後の確かめ方まで示します。

状況にあわせてご相談ください

いまの状況を選ぶだけで、次に決めることが見えてきます。気になる点があれば、こちらからお返事します。