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「商用利用可」でも使えない画像がある。生成AIを仕事に使う前の著作権確認

企業サイトや広告、顧客資料へ載せる前に、入力素材、第三者の権利、利用規約、人が作った部分を確かめます。文化庁とAdobeの一次資料を参照し、3つの記入例と公開前確認票で判断に必要な材料を整理できます。

商用利用の許諾と他者の著作権の確認を区別する図

生成AIで作った文章や画像を仕事に使う前には、素材をAIへ入力できるか、出力が他者の権利を侵害しないか、規約上その用途に使えるかを分けて調べます。

たとえば、商品紹介ページに載せる画像を生成AIで作り、「商用利用可」の表示を見て安心する。ところが、参考画像は取引先から受け取っただけで、AIへの入力や広告への転用を許可されたか分からない。この状態では、見栄えが良くても公開に進める条件がそろいません。

自社で独占したい場合や権利を譲る契約では、人がどの部分の創作に関わったかも別に調べます。文化庁のチェックリスト&ガイダンス(PDF)とAdobeの製品別条件も、入力と出力の条件を分けています。著作権のほかに確かめる法律やガイドラインは、日本企業のAI利用で確認する法律とガイドラインで義務と推奨に分けています。

文化庁資料は著作権の考え方の整理で、商標・肖像などの権利は別に判断します。

入力を許された素材も、広告へ使う前に用途を照合する

顧客から「広報担当内で初稿を検討してよい」と受け取った資料を使うなら、次の三段階で資料と許可の対応を残します。公開前に問題が見つかっても、どこからやり直すかを判断しやすくするためです。

段階 記録する例 不明なら戻る先
入力 素材M-01、提供者、使うAI製品・機能、許された目的 素材の提供者と利用条件
生成・編集 元素材、生成物G-01、人が直した箇所、使用した部品 類似箇所や素材の扱いを確認する担当
社外公開 掲載先、公開する最終版、顧客の掲載許可、第三者素材の条件 顧客と、必要に応じ権利に詳しい専門家

許可の記録に「社内初稿」としかなければ、広告掲載の可否は空欄のままです。生成物を大きく書き直したことや、AI製品の商用利用表示だけで、その空欄を埋めません。別の素材へ替える案も含めて、公開に使えるものを選び直します。

Adobeの生成AI向け条件は2026年4月23日発効版を確認しました(2026年10月26日閲覧)。入力の権利と出力の利用に関する条項を分けて読めますが、その製品条件は個別の顧客素材の掲載許可を代わりに与えるものではありません。以下の著作権・契約の確認も、今回の用途へ結び付けます。

社内で直せた文章を、広告に載せる前に

顧客資料について、「文章AI-Bへ入力し、広報担当内で初稿を検討することだけ」を許可された場合を考えます(想定例)。担当者が見出しや段落を直し、読みやすい初稿ができました。ここまでは許諾の範囲に収まります。

その文章をWeb広告に転用するとなると、外部公開の許諾を追加で取ります。資料の言い回しが残っているか、完成した文章に第三者の権利の問題がないかも見ます。「社内で使えた」「有料AIを使った」「人が直した」という事実だけでは、公開してよいことにはなりません。

利用できるかと、独占できるかを分けて調べる

利用規約で広告制作が認められていても、他社の写真を入力する許可や、生成画像を独占できる根拠まで得たことにはなりません。利用前の三つの点と、独占利用・権利譲渡を考えるときの点を分けます。自社に著作権が発生するか不明であることと、他者の権利を侵害せず利用できるかは、別の問題です(出典:文化庁概要資料、3ページ(PDF))。

表1:調べる四つの点

調べること 答える問い・見るもの
入力素材の権利 その資料をAIへ送って加工できるか。権利者、許諾目的、契約、利用態様を見ます。
出力の第三者権利 既存作品との関係や、商標・肖像等の問題がないか。出力と予定用途を見比べます。
サービス規約 使った機能・モデル・プランで予定の利用が認められるか。適用契約と製品内表示を読みます。
独占利用・権利譲渡を考える場合:人の創作への関与 出力のどの部分に人の創作的な関与があるか。具体的な指示や加筆・修正の過程を記録します。

四つの区分は、文化庁・Adobeの資料をもとにした順序です。

入力する資料を調べる

最初に、誰が作った何を、何のために入力するかを書き出します。自作写真でも写り込んだ作品や人物、委託制作物でも発注時の契約を読みます。顧客が資料を渡したという事実だけで、AIサービスへの送信、加工、外部公開まで許可されたと扱わないようにします。

著作物の入力に許諾が必要かは、目的や利用方法によります。文化庁は、情報解析などの「表現を楽しむ目的がない利用」と、既存作品に似たものを作って表現を楽しむ目的も含む利用を区別しています。著作権法上、許諾なしで使える例外が適用されるかは、その条件に沿って検討します(出典:文化庁概要資料、6〜7ページ(PDF))。

検索した資料をAIに参照させるRAGでも、既存作品の創作的な表現を回答に出す目的か、必要な範囲の軽微な利用に当たるかなどで検討が変わります。参照元、出力の仕方、提供先をまとめ、例外の適用を判断できない場合は法務に相談します(出典:文化庁概要資料、7ページ(PDF))。

「許諾あり」の一語で済ませず、「指定サービスへの入力と社内検討用の改稿は許可。広告への掲載は対象外」のように範囲を残します。判断できない資料は、入力前に権利者や顧客の窓口に問い合わせるか、権利関係がはっきりした素材へ差し替えます。

出力と公開用途を調べる

著作権侵害を考える際には、「類似性」と「依拠性」を見ます。類似性で問題になるのは、創作的な表現の共通性です。依拠性は、既存作品に基づいて作ったかという関係です。利用者が元の作品を知らなかったという事情だけで、依拠性を否定できるとは限りません(出典:文化庁概要資料、11〜12ページ(PDF))。

公開前には、特徴的な文章や画像の構図・要素を見て、必要に応じて検索などで既存作品との関係を調べます。検索で見つからなかったことだけを「非侵害の証明」としません。疑わしい出力は、参照素材と生成経緯を添えて法務などの判断に回します。ロゴ、商品名、人物の顔が含まれる場合は、商標・肖像等も調べます(出典:文化庁ガイダンス、3-1-5(PDF))。

社内用の初稿と外部公開は、用途ごとに判断します。文化庁は、利用許諾を得て利用することを目的にした社内検討など、要件を満たせば例外が適用され得る場面を示しています。社内利用でも要件を満たすかを見ます。顧客への配布やWeb掲載へ用途を変える際は、その利用について改めて判断します(出典:文化庁ガイダンス、3-1-4(PDF))。

三つの記入例

サービスや許諾の条件を仮定し、公開までに残る課題を比べます(想定例)。

素材と用途 入力・社内作業 公開までに残ること
A:自社の卓上ライト画像から商品紹介画像 自社の利用権限があり、指定サービスでの処理を認める想定 完成出力の第三者権利・表示・社内承認。自作の元画像だけでは判断できない
B:許可された顧客資料から社内初稿 指定された文章AI-Bと広報担当内の検討に限定 広告・顧客配布の追加許諾と完成出力の点検。別サービスへの変更も許諾の対象か見直す
C:権利不明のWeb画像から広告 入力前に保留 出所・利用条件を調べるか、権利がはっきりした素材へ差替え

記録は共通の確認票に、素材・許諾範囲・サービスと契約・利用日・規約の版・修正差分・確認者を残します。詳細には、制作を進めるA・Bの記入例を示します。人の創作への関与欄は、独占利用や権利譲渡を検討する際に使います。

制作を進める2件の確認票を見る

表2:自作画像から商品紹介画像を作る(想定例)

項目 記入例
入力素材の権利 自社制作の卓上ライト画像。自社に利用権限がある想定。第三者素材は使わない。
生成物と既存作品の関係 生成後の出力の点検は未実施。元画像が自作でも、出力の非侵害は未判定。
利用予定 企業サイトの商品紹介とWeb広告。外部公開を予定。
規約とプラン 画像AI-A/モデルA1/業務プラン。この用途が規約上許可される前提。
人の創作への関与 構図の指定と背景の描き直しを予定。実際の創作的関与は未判定。
保存する記録 元画像ID、制作権限の記録、規約の版、出力の点検、編集差分、承認記録。
記入日・版 想定記入日:2026-09-15。確認票v1.0/架空規約v1。出力の点検日は未定。
根拠URL 文化庁ガイダンス(原則)(PDF)
まだ済んでいないこと 完成出力の権利・表示の点検と社内承認。著作権の帰属も未判定。
次の判断 完成出力と公開条件を点検して承認へ。入力の権限だけでは公開しない。

表3:利用許可のある資料から社内用の初稿を作る(想定例)

項目 記入例
入力素材の権利 顧客資料。文章AI-Bへの入力と社内初稿作成のみ、権利者から許可済みの想定。
生成物と既存作品の関係 資料の言い回しが残る想定。許諾の範囲を超える外部転用はしていない。
利用予定 広報担当内の検討のみ。顧客配布・Web掲載はしない。
規約とプラン 文章AI-B/モデルB1/業務プラン。指定環境での処理が許可される前提。
人の創作への関与 人が段落構成と表現を直す予定。出力全体の著作権は未判定。
保存する記録 許諾書ID、対象資料版、共有先、サービス設定、修正履歴、用途変更時の見直し。
記入日・版 想定記入日:2026-09-15。確認票v1.0/架空許諾書v1・資料v2。
根拠URL 文化庁ガイダンス(原則)(PDF)
まだ済んでいないこと 外部公開の許諾なし。別サービスへの移行も許諾範囲外。
次の判断 許諾範囲内の社内検討に限定。公開するなら追加許諾と出力の点検を行う。

調べる四つの点、記入例、空欄票をまとめた公開前確認票をダウンロード(Excel)できます。

規約と制作過程を残す

使った機能・モデル・契約を調べる

Adobe Firefly FAQでは、ベータ表示のない機能の出力は商用プロジェクトに利用できると説明しています。ベータ機能の出力も、製品内に別段の明示がなければ商用利用可能という扱いです。使った機能の表示を見てください。第三者の権利を侵害する入力・生成・共有は、別途ガイドラインで禁止されています(出典:Adobe Firefly FAQ、Adobeガイドライン、第2項)。

Firefly等にはAdobe以外のパートナーモデルもあります。サービス名に加え、使ったモデルと契約を記録します。企業契約についての案内を個人プランに流用せず、モデル提供元との直接契約の条件がAdobe内での利用にも適用されるかは、契約管理者が判断します(出典:Adobeパートナーモデル案内、Enterprise FAQs、製品別条件、第7条)。

表3の許諾が文章AI-Bだけを対象にしているなら、別の有料サービスへの切替えでも許諾の見直しが必要です。また、Adobeの補償には対象プラン、機能、出力や利用方法などの条件があります。適用契約が不明なら、購入担当・管理者と提供元の契約窓口に問い合わせ、適用が分からない補償を前提に公開しません(出典:Adobe製品別条件、第8条)。

人が加えた変更を記録する

文化庁の整理では、AIが自律的に生成したものは著作物に当たらず、人の創作意図と創作的な関与がある場合には、AIを道具として作った著作物になり得ます。指示の長さや生成回数だけで決めず、具体的な関与を個別に検討します。人が創作的に加筆・修正した部分が保護され得ることと、出力全体を独占できることも分けて考えます(出典:文化庁概要資料、15〜16ページ(PDF))。

サービスの規約に利用者の権利を保持する趣旨の記載があっても、日本法上の著作権が発生するかは別の判断です。Adobe一般利用条件は当事者間の権利を扱い、製品別条件は出力が知的財産権で保護されない場合があるとしています。外注先へ独占利用や権利移転を求める場合は、AIの利用箇所と人の制作部分を記録します(出典:Adobe一般利用条件、第4.2条、製品別条件、第3.2条)。

保存するのは、サービス・モデル・プラン、利用日、素材ID、許諾範囲、規約の版とURL、重要な指示の要約、人の修正差分、確認者と判断です。文化庁も制作過程を説明できる記録に言及しています。保存範囲・期限は社内方針に合わせ、必要な原本の所在を残します。秘密情報へのアクセス、管理担当、削除方法も決めてください(出典:文化庁ガイダンス、3-1-7(PDF))。

判断できないときの選択肢

締切が迫っていても、不明欄を「問題なし」に置き換えないでください。素材の権利が不明なら差替えか許諾取得、用途が許諾範囲を超えるなら公開見送りか利用範囲の変更、既存作品との関係が疑わしいなら法務・弁護士等への相談を選びます。

問い合わせる相手 質問の例
資料の権利者・顧客窓口 「この資料を指定のAIへ入力して改稿できますか。広報担当内の検討に加え、Web広告へ掲載する許諾も含まれますか」
サービスの契約窓口・購入担当 「この契約・モデル・機能で広告制作に使えますか。製品内の制限や補償の対象条件を、適用文書で教えてください」

サービス側の回答だけで素材の許諾が取れるわけではありません。どちらに何を問い合わせたかを分けて残します。

相談するときは、入力素材の出所、サービス・モデル・契約、重要な生成経緯、疑われる既存作品、公開予定の媒体と相手、不明点をまとめます。回答を確認票に戻し、誰がどの範囲を承認したかを残します。公開後に権利の申出が来た場合の連絡先と、一時非公開を判断する責任者も決めておくと、対応に使えます。

まず、今回の制作物一つについて空欄票を埋めてみてください。「使えるか」「公開してよいか」「独占できるか」を同じ丸印で済ませず、不明点と次の問い合わせ先を残す。商用利用可の表示を、仕事の具体的な判断につなげます。

機密情報の扱いも併せて点検します。生成AIの情報漏えいを防ぐ社内ルールでは、入力する情報や保存・外部連携の設定を整理しています。

資料の確認日:2026年9月15日。規約・制度・解釈が変わったら、確認票も見直してください。

利用条件を押さえたうえで制作ツールを選ぶ際は、部分修正や納品形式、再生成の費用も比べられます(画像・動画生成AIの選び方|修正・費用・利用条件)。

参考出典

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