画像・動画生成AIは、最初の見栄えではなく、部分修正と一貫性、編集できる納品形式、再生成を含む費用、素材と出力の利用条件を比べて選びます。
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「色だけ変えて」と頼むと、形も背景も変わる。画像・動画生成AIを仕事で選ぶ基準
告知図と10秒の動画を作る例で、部分修正、文字や商品の一貫性、納品形式を比較します。再生成と修正にかかる費用まで数えると、制作全体の負担が見えます。制作仕様書と費用比較票のExcel付き。
影山 湧亮 / NeoLogic株式会社 代表取締役。元警視庁。現場業務の整理と生成AI活用・Webシステム開発を一貫して担当。

たとえば、告知画像の初稿はきれいにできたのに、「商品の色だけ青から白へ」「見出しだけ変更」と頼むと、形や背景まで変わってしまう。動画も、最後に字幕を直すために作り直す。この後工程まで含めて考えると、最初の見栄えだけでは、仕事に合う画像・動画生成AIを選べません。
比べるときは、生成AIだけで完成させる方法と、生成素材を編集ソフトで仕上げる方法を分けて考えます。
公式資料に載る機能と、試用で確かめることを分けて見ていきます。費用は、告知図と10秒動画を作る場合で比較します。
ライトの色だけ変えて、形と説明を保てるか
最初の生成が見栄えよくできても、告知の途中で商品色を変えられなければ、実務の制作費は読めません。本文の卓上ライトを使い、「本体色だけ変更し、台座の形、スイッチの位置、商品名と価格欄は変えない」という二回目の課題を用意します。以下は実施前の確認例です。
| 比べる成果物 | 合格の見方 | 費用・時間へ入れる作業 |
|---|---|---|
| 修正後の告知画像 | 指定した色が変わり、他の商品形状と文字は同じ | 失敗した試行、部分修正、文字の組み直し、書き出し |
| 10秒動画の冒頭・中間・末尾 | 商品の形と色、説明文が時間をまたいで整合する | 再生成、つなぎ直し、不要部分の除去、確認 |
| 最終納品データ | 掲載担当が必要な大きさ・形式で使える | 編集可能データの受領と、掲載用の変換 |
モデルが動かすと不自然になる箇所は、静止画と通常の編集で目的を満たせるかも比べます。生成回数だけを採点せず、受け取った商品写真・ロゴを使える条件と、顧客へ出せる完成物になるまでの全試行を記録します。
商品を撮影した元写真と生成画像は区別し、実物と異なる形や付属品を販売用の説明へ混ぜないようにします。これは特定製品の品質・利用許諾を確認した結果ではなく、次の試用と素材確認に使う課題です。
完成品に必要な条件を決める
まず、何を納品するかを書きます。Web用の告知図なら、掲載場所、縦横比、ピクセル数、文字の差し替え、透過の要否、編集元の形式が必要です。短い動画では、これに尺、フレームレート、音声、字幕、編集ソフトへの受け渡しを加えます。フレームレートは1秒間の画像の枚数です。
生成時のサイズと納品サイズは別の欄にします。生成後の切り抜きで商品が欠けたり、動画の拡大で細部が崩れたりするなら、書き出し寸法だけ合っても完成とはいえません。卓上ライト「灯り01」を紹介する、告知図1枚と10秒動画1本の仕様書を作ります(想定例)。
表1 告知図と短い紹介動画の制作仕様書
| 項目 | 完成条件の記入例 |
|---|---|
| 用途と納品 | Web告知図1枚:1200×675px、PNG。紹介動画1本:1920×1080px、10秒、24fps、MP4、無音。 |
| 生成と編集 | 画像の仮生成サイズは1536×1024px。動画は5秒×2カットを編集して10秒に。最終寸法への調整と書き出しを含める。 |
| 色だけ変更 | 本体を青から白へ。外形・スイッチ・背景・影は変更不可。色を変える対象と保持対象を別々に判定する。 |
| 文字だけ修正 | 「新しい灯り」を「毎日の灯り」へ。商品・配置・背景は変更不可。文字は編集可能なレイヤーまたは字幕として保持する。 |
| 一貫性と納品元 | 2カットで同じ商品の形状を保持。背景・商品・文字を別編集できる画像元データと、字幕を編集できる動画プロジェクトを納品。 |
| 利用条件 | 権利を持つ参照素材だけを使用。公開・共有・学習利用、商用利用、表示条件を採用する契約・モデルごとに調べる。 |
この例では、正しい文字と商品の形を維持することが必須です。実商品の寸法や表示を忠実に伝える広告では、商品写真をそのまま使い、生成は背景や演出に限る方針も候補になります。一度きりの社内ラフなら編集元の要件を軽くできます。社内向けでも素材の権利は確かめます(出典:文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(PDF))。
図1 色を変えた結果と、残すはずの部分を別々に判定する。見づらい場合は比較図を拡大すると、輪郭やスイッチの位置を確認できます。
中央の白いライトは、元の輪郭・スイッチ・背景・影を保っています。下のライトは色こそ白ですが、傘が丸くなり、スイッチも下へ移動しています。表1の「色だけ変更」には不適合です。動画でも、カット1とカット2で別の商品のように形が変われば修正対象にします。実際の試用では、この見方で元素材と出力を並べ、変わった箇所と採否の理由を比較票へ残します。
生成と編集の得意を分ける
サービス、生成モデル、編集ソフトは役割が異なります。Fireflyは複数のモデルや機能を利用できるサービスで、モデルによって設定や条件が異なります。画像を生成する機能と、既存の文字を確定的に直す機能を一つの順位にせず、「生成する手段」と「完成させる手段」の組み合わせを比較します(出典:Adobe「Adobe Firefly FAQ」、Adobe「Partner models in Adobe products」)。
部分編集機能があることと、直したくない部分が変わらないことは別です。参照画像も、構図を寄せる機能なのか、同じ商品を保持する用途に使えるのかを区別します。「同じプロンプトなら同じ商品になる」とは置かず、スイッチの位置や輪郭など、保持する特徴を試用票に書きます。挿絵を1ページずつ作り直せる仕組みを、物語づくりと同じ画面にまとめた例として、AIえほんメーカーの開発事例があります。
文字を確実に差し替えるなら、文字を生成画像へ焼き込まず、後から編集可能な文字として重ねる設計が候補です。たとえばPhotoshopでは文字レイヤーを編集できますが、ラスタライズすると文字としては編集できなくなります。生成された背景と、固定する商品、変更する文字を分けておけば、「文字だけ直す」という要求をAIの再生成だけに頼らず処理できます(出典:Adobe「Edit text in Photoshop」)。
表2 公式資料にある機能と、試用で確かめること(2026年9月15日時点)
| 対象 | 公式資料にある機能・条件 | 試用で確かめる範囲 |
|---|---|---|
| Adobe Firefly(画像/Firefly Video) | 新規画像、構図の参照、ブラシで選択した領域の生成、画像を使った動画生成。 | 同じ参照から商品の形を維持できるか。機能ごとのモデル・契約・出力設定を記録する。 |
| ChatGPT Images(Web画像機能) | 新規画像、画像アップロード、指示または範囲選択による編集。 | 公式にも選択範囲外へ編集が及ぶ可能性の記載。色だけ・文字だけを直し、他の部分を比較する。動画は本比較の対象外。 |
| Runway Gen-4.5(Web動画生成) | テキスト/画像から動画生成。Standard以上。720p、2~10秒、24または25fps。 | この生成資料では任意領域の部分修正の記載なし。別の編集機能は別に試す。1080p納品は拡大後の品質も判定する。 |
表2は、Adobe「Generative fill」、Adobe「Match image composition to reference image」、Adobe「Generate videos using images」、OpenAI「Images in ChatGPT」、Runway「Creating with Gen-4.5」の公式説明をもとにしています。
実費は作り直しも含める
料金表を見るときは、月額だけでなく、対象モデル、生成解像度、秒数、1回の出力数、再生成回数、追加購入単位をそろえます。クレジットは各サービス内の利用量を数える単位で、同じ数値でもサービスごとに金額が異なります。
実在する仕様の例では、Adobeの生成クレジットFAQはFirefly Videoの1080p・24fpsを100クレジット/秒としています。この条件で5秒を1回生成すれば500、4回なら2,000クレジットです。この計算は生成時の消費量を示します。円換算額や完成本数は、契約と試行結果から別に算出します。「無制限」等の表示も、対象機能とプランを確認します(出典:Adobe「生成クレジットに関するよくある質問」)。
同じ制作物を、二つの工程で見積もる
同じライトの制作費に、仮の料金を入れて比べます。期間は1か月、利用者1人、案件1件。仮の生成サービスは月額3,000円・3,000クレジット付き、画像1回10クレジット、動画1秒100クレジット、追加は1,000クレジットを1,000円で購入するとします。金額は税抜の仮定です。
Aは修正のたびに文字も含めて再生成し、納品前に編集できる形へ組み直す方法です。Bは生成素材を最初から分けて持ち、文字レイヤーや字幕を編集する方法です。Aは既存の編集ソフトを使い、追加の支払いはありません。Bには月1,500円を加える想定です。人の実作業は1時間3,000円で評価します。両案が同じ完成条件に合格する前提の試算です。
Aの背景・商品を分ける作業は初稿作成20分に、編集可能な文字を作り直す作業は文字修正30分に、字幕と編集プロジェクトを整える作業は動画編集15分に含めます。表の「準備・初稿・動画編集・確認65分」は、準備20分+初稿20分+動画編集15分+最終確認10分です。これで足りるかは、実際の素材で測り直します。
表3 生成費用と修正時間の比較
| 比較項目 | A:都度再生成 | B:生成素材を編集 |
|---|---|---|
| 画像の生成回数 | 8回(初回2+再生成6) | 4回(初回2+再生成2) |
| 動画の生成回数 | 5秒×6回(初回2+再生成4) | 5秒×3回(初回2+再生成1) |
| 消費クレジット | 3,080 | 1,540 |
| 追加購入 | 1パック/1,000円 | 0パック/0円 |
| ツール代の現金支出 | 4,000円 | 4,500円 |
| 色だけ変更/文字だけ修正 | 45分/30分 | 8分/2分 |
| 準備・初稿・動画編集・確認 | 計65分 | 計60分 |
| 実作業時間の合計 | 140分 | 70分 |
| 時間を金額換算した費用 | 7,000円 | 3,500円 |
| 総費用(現金支出+時間換算) | 11,000円 | 8,000円 |
消費量は「画像回数×10+動画回数×5秒×100」です。追加パックは、含まれる3,000クレジットを超えた分を1,000単位で切り上げます。Aは80クレジット超過でも1パック購入します。月額と含有クレジットの費用を二重に足さず、未使用残高と実際の支払いを区別します。
この仮定ではBの総費用が低くなります。一方、現金支出だけならAが500円少なくなります。Bに80分の習得時間を追加すれば、Bは合計150分、換算した合計額12,000円となり、Aの11,000円を上回ります。既存契約の有無や担当者の習熟で選択は変わります。複数案件で使う場合は、固定費を全額計上するか配賦するかを両案で統一してください。
Excelの比較票は、入力値と数式を分けています。待ち時間は実作業時間に混ぜず別記し、納期に収まるかを判定します。無償の利用枠で足りる社内ラフと、手直しが続く公開広告では、同じ料金表でも必要なプランが変わります。
仕事で使える条件を調べる
商用利用の許可と、作品ごとの権利は別
Adobe Firefly FAQでは、ベータでない機能の出力は商用利用でき、ベータ機能も製品内で別の指定がなければ商用利用できると説明されています。個々の出力の権利や、モデルごとの条件は別に調べます。機能・モデル・利用経路・契約を特定して読みます(出典:Adobe「Adobe Firefly FAQ」)。
文化庁のガイダンスは、入力時の素材の扱いと、生成物を利用するときの既存著作物との関係を分けています。既存作品との類似性や依拠性が問題となり、サービス上で商用利用を認められていても、生成物ごとに権利侵害の有無を見る必要があります。第三者の広告画像を無断で参照にし、似た広告を公開する案は、入力条件から見直します。
自分が撮影した写真でも、人物の同意や写り込んだ表示などは別に調べます。著作権以外の権利や広告の表示規制まで、このガイダンスだけで判断しないでください。入力素材の権利、出力の類似、利用規約、作成過程を記録し、不明点が残る公開物は権利者・提供元・専門家に相談します(出典:文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(PDF))。
公開設定、学習利用、第三者モデルを混同しない
公開ギャラリーへの投稿と、サービス内での保存、モデル学習への利用は別の項目です。Fireflyのコミュニティへ投稿すると、画像やプロンプト等の利用に関する条件が加わります。一方、Runway一般規約4.4には入力・出力を学習等に利用し得る旨があり、Enterpriseには別規約があります。非公開設定だけで学習利用なしとは判断できません(出典:Adobe「Adobe Firefly FAQ」、Runway「Terms of Use Agreement」)。
同じモデル名でも、提供元と直接契約する場合とAdobe内で使う場合は分けて読みます。AdobeのパートナーモデルFAQは、Adobe経由の入力をパートナーやAdobeのモデル学習に使わない一方、生成に必要なプロンプトや参照ファイルを共有すると説明しています。一部モデルには個人向けのみの提供制限もあるため、会社の契約で使えるかを調べます(出典:Adobe「Partner models in Adobe products」)。
最後に、目に見える透かし、制作の来歴を示すContent Credentials、掲載媒体のAI表示条件を別々に記録します。権利処理には素材の許諾や出力の照合も必要です。書き出し時に何が付くかを見て、クライアントとの納品条件と矛盾しないかを確かめます(出典:Adobe「Content Credentials overview」)。
比較試用の方法を決める
試用は二段階に分けます。最初は、権利がはっきりした同じ素材・同じ日本語指示・同じ完成条件を使う比較です。次に、各ツールに合う指示や参照設定へ調整する比較を行います。後者には調整時間も含め、前者の結果と混ぜて「同じ条件で優れていた」としないようにします。
ライトの例なら、初稿生成の後に「色だけ変更」「文字だけ修正」「同じ商品を2カットで維持」「指定形式で納品」を順に試します。指示した変更と、保持すべき部分を別々に見て、動画は全尺を再生して変形や字幕を見ます。1回の成功から再現性を断定せず、試行数と失敗も残します。
記録するのは、試した日、契約・モデル・版、指示と参照素材、設定、生成回数、消費量、実作業と待ち時間、保持対象の合否、権利・公開条件です。結果が分からなければ「不明」とし、安さだけで採用しません。たとえば、拡大処理不可・ネイティブ1080p必須の案件では、上記の720p生成仕様は条件外です。必要なら提供元の出力仕様や契約窓口で補います。
まず仕様書の空欄版で納品条件を固定し、候補を二つ程度に絞って比較票を埋めてください。正確な商品や文字を後から直す仕事では、生成AIの選択だけでなく、何を固定素材にし、どこを編集可能にして残すかが判断の中心になります。生成AIの基本から整理したい方は、生成AIの現在・仕組み・未来ガイドも参考にしてください。
作った画像や動画を広告・顧客資料へ使う前に、入力素材と第三者の権利を確かめます(生成AIの文章・画像を仕事に使う前の著作権確認)。
参考出典
- Adobe「Adobe Firefly FAQ」
- 文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(PDF)
- Adobe「生成クレジットに関するよくある質問」
- Runway「Terms of Use Agreement」。2026年9月15日更新、2026年9月16日確認。一般規約4.4は入力・出力を学習・改善等に利用し得ると説明。Enterpriseは別規約。
機能の確認日:2026年9月15日。Runwayの利用規約は9月16日に確認しています。



