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同じ101号室でも、契約者は別の人。賃貸の入金・修繕を契約ごとに追う方法

同じ部屋でも、旧契約の入金や修繕を新しい契約に混ぜずに管理します。2物件・4室の例で、更新連絡、入金の割り当て、修繕費の負担確認を追います。記入例・空欄版のExcelと引継ぎチェック表付き。

同じ101号室の前後の契約を、入金と修繕の記録に対応付ける。

賃貸物件の更新・入金・修繕をまとめるには、物件・部屋・契約を別番号で管理し、契約期間と請求の対象月、修繕が発生した経緯を確かめて対応付けます。

たとえば、同じ101号室でも、8月までの契約者と9月からの契約者は別です。9月に届いた振込や修繕請求書を「現在の入居者」でまとめると、前の契約の未収金まで新しい契約へ付けてしまいます。

入金日や工事完了日だけで契約を選ばず、判断が済んでいないものは未確認のまま残します。

2物件・4室を管理する例で見ていきます(想定例)。更新の法的扱いや退去精算の負担区分は、個別の契約と公的資料で判断します。

まず、青葉ハイツ101号室の入替えを追います。前の契約をA、新しい契約をBと呼びます。

日付(2026年) 101号室で起きたこと 記録する契約・残る作業
8/31 前の入居者が退去。8月家賃8万円のうち6万円を入金 Aの未収は2万円
9/01 新しい契約が始まる Bを新規登録。Aを上書きしない
9/02 新しい入居者が8万5,000円を入金 Bの9月家賃へ配分
9/04 退去時に見つけた壁の傷の修繕が完了 Aに関連する修繕。負担者は未定
9/10 前の入居者から残り2万円を入金 Aの8月家賃へ配分し、未収ゼロ

日付が9月だからといって、すべて新しい契約Bの記録にはなりません。入金は何月分の請求か、修繕はどの経緯で発生し、誰が負担するのかまで戻って確かめます。

入居者が替わっても、前の契約は残す

物件IDは建物、部屋IDはその中の部屋、契約IDは契約を識別する番号です。さらに契約者IDを分けると、同じ人が別の部屋を借りた場合も、氏名だけで契約を取り違えずに参照できます。

ビジュアルリサーチの「賃貸管理システムi-SP/SP-Ⅱ」では、建物・部屋・契約者の台帳、各種履歴の閲覧、過去の更新情報の管理が紹介されています。台帳と履歴の関係を参考に、以下のように番号と確認手順をそろえます。

表1では、青葉ハイツ101号室を契約Aから契約Bへ引き継ぎます。物件・部屋の情報は使い続けますが、Aの行をBの氏名や期間で上書きしません。Aの契約書、未収金、退去記録はAに残し、Bは新しい行を作ります。

2物件・4室と新旧5契約の対応を見る

表1 2物件・4室の契約履歴(想定例)。P01は青葉ハイツ、P02は若葉コートです。2026年9月15日時点の状態です。

物件ID 部屋ID 契約ID/契約者ID 契約期間 退去日
P01 R01(101号室) A/U01 2024-09-01〜2026-08-31 2026-08-31
P01 R01(101号室) B/U02 2026-09-01〜2028-08-31 —
P01 R02(102号室) C/U03 2025-04-01〜2027-03-31 —
P02 R03(201号室) D/U04 2024-10-01〜2026-09-30 —
P02 R04(202号室) E/U05 2025-07-01〜2027-06-30 —

契約者IDのU01〜U05は別人を表します。「—」は退去なし。Aの終了は合意資料と明渡しを済ませた想定で、日付到来だけでは確定しません。

入力担当は部屋台帳と契約原本を照合し、確認担当が開始日・終了日・契約者を確定します。同じ部屋に期間の重なりが見つかったら、二重契約と即断せず、変更合意や入力誤りを調べる対象にします。

連絡後に、更新や終了が決まったか

更新管理では「契約終了予定日」「連絡期限」「連絡した記録」「更新についての回答」を分けます。終了日から一律に日数を引くだけでは、契約上の通知期限と社内の準備日が混ざります。期限の根拠となる契約条項や、社内で定めた日であることも記録してください。賃貸以外の契約も含めて期限を一覧にする方法は、契約更新の期限台帳と通知の作り方にまとめています。

Aは2026年7月31日を社内の連絡期限とし、7月20日に連絡、8月5日に8月31日終了の合意資料を受け取った想定です。退去日には明渡しを見届け、「連絡済み」から「終了確認済み」へ進めます。メールを送っただけでは更新合意や終了確認を済みにしません。

一方、R03の契約Dは9月30日が終了予定日です。9月1日に連絡し、9月10日の電話で「条件確認中」と記録、次の連絡を9月18日に予定します。9月15日時点では更新合意はまだありません。担当交代時も、次に誰が何をするかが残ります。

同じ契約者が更新する場合も、旧期間や賃料を消さず、更新履歴を追加します。普通借家・定期借家など契約の種類と原本の条件を読み、台帳の日付だけで更新や終了を判定しない運用にします。契約条件を見直す資料の入口として、国土交通省の標準契約書の案内を参照できます。

入金日から、家賃の対象月は決められない

請求は「請求ID・契約ID・対象月・金額・支払期限」で1件ずつ残します。銀行の入金は「入金ID・入金日・振込名義・金額」で別に記録し、どの請求へいくら充てるかを配分表でつなぎます。この対応を確認する作業が消込です。

冒頭の9月10日の2万円も、振込名義と内容を照合してAの8月請求へ配分します。入金日から対象の契約を決める運用では、この旧契約分を取り違えます。

表2 2026年9月15日時点の家賃請求と入金配分(想定例)。Aは8月分、B〜Eは9月分です。対象月が異なる5請求をまとめています。

契約ID 対象月 請求額(円) 確認済み配分額(円) 未収残(円)
A 2026-08 80,000 80,000 0
B 2026-09 85,000 85,000 0
C 2026-09 78,000 78,000 0
D 2026-09 90,000 60,000 30,000
E 2026-09 88,000 88,000 0

今回の対象5請求の合計は、請求421,000円、確認済み配分391,000円、未収残30,000円です。8月分と9月分が混在しているため、9月の家賃収入や入金見込みの合計ではありません。不明入金10,000円は別管理で、未収残と相殺しません。修繕費・敷金・税務処理は集計対象外です。

Bの8万5,000円は9月2日に入金され、Bの請求へ配分済みです。別途、9月12日に届いた名義確認中の1万円は未配分として残します。空いている請求に仮置きしたり、Dの未収3万円と差し引いたりしません。

未収残は「請求額-確認済み配分額」、未配分残は「入金額-確認済み配分額」です。配分担当が請求IDと契約IDを照らし合わせ、確認者・確認日・根拠を残します。誤配分は元行を取り消して訂正行を追加し、黙って上書きしないようにします。

修繕が終わっても、費用負担は別に確かめる

修繕は依頼の受付時に修繕IDを発行し、物件ID、部屋ID、場所区分、受付日、症状、原因の調査状況を記録します。その後に手配先、作業予定日、完了日、確認者を追加します。依頼者、関連契約、費用負担者、請求先をそれぞれ確認して別欄に記録します。

101号室の壁の傷は、前の入居者の退去時に見つかり、9月4日に修繕が終わった想定です。発見時の経緯はAに関連付けますが、原因や負担はまだ決まっていません。工事がBの入居後だからBへ請求する、Aに関連するからAへ請求する、という自動判断はしません。

表3 修繕履歴の抜粋(想定例)。日付は2026年、9月15日時点。F03の9月17日は予定で、実績ではありません。

修繕ID 物件ID/部屋ID 関連契約ID 作業状態 負担確認
F01 P01/R01 A 9/4作業完了 未確認/請求先未設定
F02 P01/共用部 なし 9/6作業完了 9/7貸主負担と決定
F03 P02/R03 D 9/17作業予定 未確認/請求先未設定
F04 P02/R04 E 8/20作業完了 8/21貸主負担と決定

関連契約IDには発生経緯にかかわる契約を記録し、請求先は別欄に記録します。共用部の部屋ID・契約IDは空欄にし、「共用部」を場所区分として記録します。貸主負担の表示も、この架空例で個別に承認を確認した結果です。

青葉ハイツの共用灯は、部屋や契約にひも付けず、共用部の修繕として記録します。新しい入居者から連絡を受けても、その人の契約へ費用を付けるとは限りません。この修繕は9月7日に貸主負担の承認を得た設定です。

「作業完了」と「負担確認済み」は別の状態です。F01は完了報告があっても負担未確認のため、請求先契約IDを設定せず、管理責任者へ判断を引き継ぎます。見積り額も確定請求額に読み替えません。

引継ぎでは、作業完了だけでなく残る判断を短く伝えます。

管理責任者へ:青葉ハイツ101号室の壁の傷は9月4日に修繕済みです。退去時の写真、契約Aの条件、関係者の合意を照合し、負担者と請求先を決めてください。決まるまでは請求先を空欄にします。参照:修繕F01。

退去精算の負担区分は契約・写真・合意資料などと、公的資料に照らして判断します。国土交通省の原状回復ガイドラインは、市場家賃程度の民間賃貸住宅を想定した一般的な基準です。本稿の管理表だけで、負担者や特約の有効性を決めることはできません。

退去後も必要になる契約・精算の履歴

Aが退去しても、Aの入金や修繕の作業は残ります。9月15日時点ではAの家賃未収はゼロですが、F01の負担確認は未完了です。「退去済み」「家賃消込済み」「修繕負担確認済み」を一つの完了欄で済ませません。

部屋の画面から過去の契約へ移動できるようにしつつ、契約者の連絡先や精算資料を誰が閲覧・修正できるかは役割で分けます。保存対象、保存理由、社内の保存期間、見直し日、削除・匿名化の判断者を決め、必要以上の個人情報を設備履歴へコピーしない運用にします。

管理表を自社で使うときの順序

賃貸物件・契約・入金・修繕の管理表(Excel)の「使い方」を読み、空欄版へ物件・部屋、契約、請求、入金、配分、更新連絡、修繕の順に入力します。記入例とは別シートなので、例の金額が自社の集計へ混ざりません。空欄は未確認、0円は確認済みゼロとして区別してください。

引継ぎチェック表(PDF)では、番号と期間、入金の配分根拠、修繕の負担確認、次の担当・期限、閲覧・保存条件を確認します。未確認の項目は、次に確かめる内容と担当・期限を残して引き継ぎます。

賃貸管理をExcel・既製品・追加開発で整える

件数が少なく、入力と照合を担当者が定期的に回せるなら、まずこの管理表で運用を整理できます。既製の賃貸管理システムで契約履歴、入金配分、修繕の関連先、必要な帳票と権限が合うなら、その設定を優先します。機能名だけで判断せず、AからBへの交代例を使って、過去履歴が残るかを確認してください。

独自の台帳やオーナー向け報告をつなぐ必要があるときは、追加開発の検討対象です。既製品を残して、不足部分だけを開発でつなぐ方法も比較できます。

まず入居者が替わった一室を選び、退去後の入金と修繕が正しい契約へつながっているかを見てください。

現在の台帳、未処理の入金・修繕、報告様式、誰が確定するかを伝えると、相談する範囲を絞れます。送金も含める場合は、対象と承認手順を決めます。

検針した使用量を請求する物件では、メーター交換や読み値の訂正を請求の版へ対応付けます(検針値の訂正・メーター交換を請求へ反映する方法)。

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参考出典

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